D-Movie(No.489)
タイトル
ダック・シーズン
(原題)
TEMPORADA DE PATOS
監督
フェルナンド・エインビッケ
脚本
フェルナンド・エインビッケ
キャスト
エンリケ・アレオーラ、ディエゴ・カターニョ・エリソンド他
制作
2004年/メキシコ
ジャンル ドラマ
上映時間
90分
評価
★★★

【 ストーリー 】
とある日曜日のとあるアパートの一室。幼なじみのフラマ(ダニエル・ミランダ)とモコ(ディエゴ・カターニョ)は二人でお留守番。一緒にTVゲームをして楽しい時間を過ごすはずだったのだが、隣に住む娘がオーブンを貸して欲しいとやって来たり、配達の遅い宅配ピザの店員が居座ったり、どうにも調子が狂ってしまう...。

【 コメント 】
『アモーレス・ペロス』(2000)、『天国の口、終りの楽園。』(2001)などなど、ハリウッドやアジアの映画とはまた違った味わいの映画を発信し続けるメキシコ。そのメキシコで2005年のメキシコ・アカデミー賞の作品賞、監督賞、主演男優賞など11部門を独占したのが本作。脚本も手がけたフェルナンド・エインビッケ監督はこれが長編デビュー作といいますからすごい偉業ですね。もっとも、その後長編を撮っていないようで残念ですが。
メキシコのとあるアパートの一室で一緒に過ごす羽目になった3人の男と1人の女。何の接点もなかった人間同士が、退屈と倦怠に満たされた部屋の中で過ごすうちに、かすかなつながりを求め合い、つかみ始める...という物語。
お互いにモノを言わず同じ空間に存在する長回し、粒状感あふれるモノクロ映像と場面の暗転。世界の巨匠・小津安二郎監督と、NYインディーズのカリスマ・ジム・ジャームッシュ監督が出会ったような作品だなあと思いきや、エンドロールには、「Yasujiro Ozu」と「Jim Jarmus」の文字が(Special thanks?)。なるほど。

基本的にオフビートなノリと、少しずれた人間関係がゆるーい雰囲気を作っています。訥々とした進行の中にも、サッカーゲームに熱中したり、みんなで思いっきりハイになったり、ある種の熱さが感じられるのがやっぱりメキシコ。主人公が少年二人のため、男女関係や性描写は控えめですが、お国柄が感じられるところが面白い。何気ない会話やエピソードの中に、日常を生きる厳しさや不安も表現されていて、最後はそこはかとない切なさが伝わってきます。会話の間も長いし、特別大きな事件やわかりやすい結末があるわけではありませんので、見る人によって評価が分かれる作品であるのは間違いありませんが、個人的には小津&ジャームッシュ好きなので、嫌いではないです。モノクロはいいですね。もっと音楽を前面に押し出せばさらにクールな作品になったのに、と思いますが、それだとまんまジム・ジャームッシュですね(笑)。

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