D-Movie(No.491)
タイトル
赤い影
(原題)
DON'T LOOK NOW
監督
ニコラス・ローグ
脚本
アラン・スコット他
キャスト
ドナルド・サザーランド、ジュリー・クリスティ他
制作
1973年/イギリス、イタリア
ジャンル サスペンス
上映時間
110分
評価
★★★★

【 ストーリー 】
考古学者のジョン(ドナルド・サザーランド)と妻のローラ(ジュリー・クリスティ)は、娘を不幸な事故で亡くしていた。悲しみにくれる日々が過ぎ、やがてジョンが教会の像を移転させる仕事に就いたため、二人はヴェニスに滞在する。ある日、レストランで食事をしている時、観光に来た老姉妹と出会う。目が不自由で、霊媒の能力があるという妹がローラに告げる。「あなたの娘さんを見た」と...。

【 コメント 】
『レベッカ』や『鳥』などのヒッチコック作品の原作でも知られるデュ・モーリア女史の小説を元に、『地球に落ちて来た男 (1976)』や『ジェラシー』(1979)のニコラス・ローグが監督した作品。イギリス人の夫婦の亡き娘をめぐるショッキングなホラー・サスペンス。主人公ジョンを演じるのはドナルド・サザーランド。ちょっと神経質そうな感じがぴったり。音楽は本作以降、ホラー作品には不可欠な存在となるイタリア人のピノ・ドナッジオ。効果音だけでも単純に怖いです。

冒頭の別荘でのシーンからとにかく”赤”と”水”が強烈な存在感を放っています。時折フラッシュバックのように挿入される映像も鮮烈で直接神経に触られるような不快感です。その長さで有名になったセックス・シーンもそうですが、相当編集にこだわっている作品だと思います。原作は短編のようで、物語のストーリー自体はシンプルなんですが、さまざまなアイコンや伏線が入り乱れ、不可解で刺激的な内容になっています。
さらにこの作品で興味深いのは、水の都、観光の名所ヴェニスがかなり不気味に描かれていること。もちろん、歴史を感じさせる町並みや水の上を悠然と進むゴンドラなど、ヴェニスの魅力を捉えた映像もあるのですが、一旦不穏な空気に満たされると、ヴェニスの町がまるで出口の見えないダンジョンに変貌。異国の地で襲い掛かる不条理な状況が恐怖をより一層盛り上げています。
突然、何かに導かれるように主人公の夫婦の前に現れた老姉妹。彼女たちの存在は一体なんだったのでしょうか。人間の生死が運命によって定められているものであれば、そこから逃れることは出来ません。そして霊媒師に出きることは何も無いでしょう。しかし、未来はあらかじめ定められたものではなく、自らで切り開いていくものだとすれば、霊媒師の言葉を受け入れることによって、ジョンは別の人生を歩むことが出来たかもしれません。さまざまな受け取り方が出来るラストも印象的な作品です。

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