No.110
タイトル
恋愛小説ができるまで
(原題)
LA DISCRETE
監督
クリスチャン・ヴァンサン
キャスト
ファブリス・ルキーニ、ジュディット・アンリ、モーリス・ガレル他
制作
1990年/フランス
ジャンル 恋愛ドラマ
上映時間
95分
評価
★★★
<ストーリー>
プレイボーイのアントワーヌ(ファブリス・ルキーニ)は失恋したばかり。友人のジャン(モーリス・ガレル)はそんな彼に偽りの恋を元にして日記形式の恋愛小説を書くよう焚き付ける。失恋の痛手もあってジャンの提案に応じたアントワーヌは、街で若い女性を引っ掛けて偽りの関係を築いていくが.....。

<コメント>
とにかく作中主人公が繰り広げる会話がいいですね。テンポもいいしウィットに富んでいてくすりと笑わせてくれます。インテリ風の内容は賛否が分かれるところかもしれませんが、個人的には人を貶めたり下世話な感じのジョークよりはるかに楽しめました(途中醜い女の事を罵倒する発言があり、このあたりは眉をひそめる方もいるかもしれませんが、彼女に嫌われることが目的だったという事で…)。中には「実際使えそうだな−」というものもありましたし(笑)。書店を経営する悪友ジャンとの会話はそのまま恋愛マニュアルと言ってもいい内容ですね。相手との駆け引き、女心の掴み方、誘惑のテクニック等々。これも面白い。ただあくまでも男の一方的な立場からのものなので実用性があるかどうかは別問題。
主人公アントワーヌは、一見ロベルト・ベニーニあたりが演じたら面白いだろうなと思わせるキャラクターなのですが、実際に演じるファブリス・ルキーニはドタバタになる手前で抑えを効かせていて良いと思います。こういう設定の作品はリアリティを失いすぎるとしらけてしまいますから。
最初はどこにでもいそうな冴えない娘として登場させられるものの、途中から男を翻弄するような奔放さと、母性を感じさせる女を表現するジュディット・アンリの演技も見事。丸い目がかわいいです。もっといろんな作品に出てもいいのになー。

基本的にはフレンチ・テイストの会話が楽しい展開ですが、そういった機知に富む会話は一種のコミュニケーションの手段であり、本音をさらけ出したものではないこともこの作品は暴き出します。冒頭、アントワーヌが別れを切り出した妻に対して次々と繰り返す未練の言葉も、心が離れてしまった彼女にはほとんど通じません。逆に彼女には彼に語りかけるべき言葉が残されていないところが哀しい。また、彼は広告を出して出会った女性・カトリーヌ(アンリ)に対して、とにかくたくさんの言葉を並べ立てますが、それでもお互いを理解するまでには至りません。二人の心が一気に接近するのは、ベッドで彼女が自分の心を開いたときです。セックスの後、心に秘めていた秘密を彼に打ち明けるとき、そこに本当にリアルなコミュニケーションが存在し、初めて二人はお互いを知ることができるのです。
テンポの良い演出でストーリー展開が速く感じられ、「これ最後はどうなるんだろう?」と、途中不安にも似た感情が湧き上がってきましたが、予想に反するラストはなかなかの味です。ハリウッドの映画では出せないでしょうね。
なおこの作品は1990年ヴェネチア国際映画祭・国際評論家賞を受賞しました。

<以下、ネタばれ注意!>
ユーモアや作り話ではない、本当に心開いた言葉を投げかけられたとき、特にそれが男と女の間であれば、それは決して避けたり逃げたり出来ないものなのだと思います。二人が肉体関係を持ったときに彼女が語る心の奥の物語。それを投げかけられた男はそれまでの饒舌さがうそのように無口になります。偽りの関係を愉しみ続けるのはお互いの合意があってこそ。あっさり一線を越えてくる彼女を男が受け止められるはずがありません。女は心を開いたがゆえに傷つきますが、その分気持ちの整理も早い。男は彼女に空けられた心の穴を埋めるために、これからも日記を書き続けるのです。

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