No.314
タイトル
ディア・ハンター
(原題)
THE DEER HUNTER
監督
マイケル・チミノ
脚本
デリック・ウォッシュバーン
キャスト
ロバート・デ・ニーロ、クリストファー・ウォーケン他
制作
1978年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
183分
評価
★★★★★
<ストーリー>
1960年代末、ペンシルヴェニア州クレアトン。鉄鋼所に働く仲間、マイケル(ロバート・デ・ニーロ)、ニック(クリストファー・ウォーケン)、スティーヴン(ジョン・サヴェージ)の3人は、スティーヴンの結婚式の2日後、共にヴェトナムに出征する。平和な田舎町に住み、鹿狩りを楽しんでいた若者たちは、戦場で何を見たのか.....。

<コメント>
ベトナム戦争によって人生を翻弄される三人の若者たちを描いたマイケル・チミノ監督の代表作。主演はロバート・デ・ニーロ。
本作を初めて見た時の衝撃はすさまじく、その後も見れば見るほど、アメリカ人の自己憐憫的な視点の印象が薄れ、戦争が生み出す狂気そのものが浮き彫りになってくる、個人的に非常に重要な作品です。まあ”薄れた”というよりは、そういう偏った視点や演出に関しては、”映画としてしょうがない部分”であるし、”どこの国も同じようなことをやっていたんだろう”と割り切っているということなので、観る方によっては気になるし、納得しないところも多々あると思いますが。
作品の前半ではアメリカの片田舎における若者たちの日常生活が淡々と描かれていますが、結婚式を終え、仲の良い3人組がもうすぐ戦場に送られるんだ、という閉塞感漂うシーンから、一転して場面は戦場に移ります。この切り替えの唐突さがすごい。訓練の場面も、出撃の場面もなにもありません。まさに戦争に駆り出されるとはこういう感覚なのでしょう。人間の生命が誰かの思惑によって左右される理不尽さという意味では、その後重要なモチーフとなるロシアン・ルーレットも同じかもしれません。また、戦争の無益さを描いているのと同時にアメリカそのものを描いている部分もあると思います。デ・ニーロが演じる主役のマイケルに関しては、田舎での退屈な日常から戦場での激しい生き様、その後予想される人生まで、全編を通して”幸せ”が見えてこず、実はそこが最も恐ろしく感じられました。戦争によって何かを得たとしてもそれは果たして人を幸せにするものなのかどうか。
俳優陣は、デ・ニーロ以外にもクリストファー・ウォーケン、ジョン・カザール、ジョン・サベージという実力のある個性派揃いで、映画としては見ごたえ十分。さらに透明で生命感あふれるテーマ曲を始めとする音楽もすばらしく、いろんな意味で現代人が生きる世界に重くのしかかる作品だと思います。

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