No.242
タイトル
ニコラ
(原題)
LA CLASSE DE NEIGE
監督
クロード・ミレール
脚本
エマニュエル・カレール、クロード・ミレール
キャスト
クレモン・ヴァン・デン・ベルグ、フランソワ・ロイ、イヴ・ヴェローヴェン他
制作
1998年/フランス
ジャンル ドラマ
上映時間
96分
評価
★★★★
<ストーリー>
12歳のニコラ(クレモン・ヴァン・デン・ベルグ)は、想像力豊かな男の子。クラスでのスキー教室に参加した夜、ニコラは、あれこれ怖い話を思い出す。そんな時、本当に子供が殺される事件が起こる。ショックを受けたニコラの妄想は暴走し、だんだん夢と現実の区別がつかなくなっていく.....。

<コメント>
『なまいきシャルロット』(1985)、『小さな泥棒』(1988)等、少女に焦点を当てた作品で注目されたクロード・ミレール監督の作品。現実と妄想の世界の狭間で生きる少年の冬の出来事を描いた物語です。過去の作品でもそうでしたが、この人は子供の世界を描くのがうまいですね。子供たちがやたらかわいすぎないし、純粋すぎないので現実味があるんですよね。
主人公のニコラはどこか現実離れした佇まいなんですが、だからといってやたらと変な発言をしたり、奇怪な行動をとるわけではありません。逆に現実の世界で生きる彼は、その現実味が感じられないが故に表情も乏しいし、無口になるのではないでしょうか。
時折衝撃的な映像が挟まれていますが、これも効果的です。猿の手の話は映画ではよく用いられる寓話ですが、映像表現も手伝って古臭さは感じません。全体的に説明は少ない作品なので、ストーリーを追うというよりも、ニコラの世界を追体験するような感覚で見る方がよいと思います。
そもそもニコラにとって、世界とは他者との関係によって作られたものではなく、あくまでも自分の体験や想像によって作られた世界。その世界で生きるということは現実との溝がどんどん深くなっていくということでもあります。そして、最終的に自分が行き着く先と現実の世界の行き先との差を知らされた時の驚愕。この差異が暴力的で、恐ろしい存在なのです。女性監督アグニエシュカ・ホランドの傑作『オリヴィエ・オリヴィエ』(1992)を彷彿させる(『ニコラ』よりはわかりやすいサスペンスですが)フランス映画らしい一本。怖いけれどもう一度見たくなる、そんな後味の作品です。

<以下、ネタばれ注意>
結局、最後に逮捕された父親に関しては何一つ明らかにされません。数日前に起こった少年の失踪事件の犯人なのか、昔から臓器売買に手を染めていたのか、もしくは全く違う何らかの理由で逮捕されたのか。その真相はどうあれ、ラストシーンでは妄想の世界から現実の世界に引き戻された子供の混乱した感情がうまく映像化されていると思います。

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