No.252
タイトル
シティ・オブ・ジョイ
(原題)
CITY OF JOY
監督
ローランド・ジョフィ
脚本
マーク・メドフ
キャスト
パトリック・スウェイジ、オム・プリ、ポーリーン・コリンズ他
制作
1992年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
135分
評価
★★★★
<ストーリー>
1000万人の人々であふれかえるインド、カルカッタ。人生の壁にぶちあたり、救いを求めてやってきたアメリカ人医師マックス(パトリック・スエウィジ)は、貧困から逃れるために田舎から出てきた車引きのハザリ一家と”歓楽の街”という名のスラムで出会う。街のボスから搾取されながらも懸命に生きていくハザリ。そんな状況にマックスは憤りを覚えるが.....。

<コメント>
『ミッション』(1986)、『キリング・フィールド』(1984)等の作品で社会の奥深くに陽を当ててきたローランド・ジョフィ監督作品。主演は『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990)のパトリック・スウェイジ。貧困にあえぐ車引きの男性を演じるのはオム・プリ。ダミアン・オドネル監督の『ぼくの国、パパの国』(1999)で英国アカデミー賞・主演男優賞にノミネートされた実力派で、インドを代表する俳優です。

ビデオパッケージにはパトリック・スウェイジが「たとえノーギャラでもこの役をやりたい」と出演を熱望したとあります。まあ、大体こういう場合俳優の独りよがりで終わっているケースが多いのですが、本作では彼自身が確かな演技を披露してくれますし、作品自体も白人の視点からの描写にとどまっていないことは評価できると思います。映像的にもアメリカではなくアジア映画のようなある種の暗さが漂っています。
アメリカ人(=白人)が癒しを求めてアジアを旅し、自身の価値観の押し付けからトラブルを起こす。設定としてよくあるパターンです。途中、その傲慢さがやりきれない場面もあります。しかし、それを乗り越えていく人々の強さ。貧困が根本から解消されることはありませんが、それでも自分らしい、人間らしい人生を取り戻した人々の目の輝き。戦い続けることの難しさと崇高さが伝わってきます。白人の立場での傲慢さにマックス自身が悩むプロセスがもっと必要な気がしましたが、全体的にバランスも取れていて見ごたえのある作品だと思います。

<以下、ネタばれ注意!>
本作ではカルカッタで奮闘する英国人女性医師の台詞がキーワードとなっています。「人間には3つしか道はない。逃げるか、傍観するか、飛び込むか」。もちろん心に響く言葉ですが、私が一番感動したのは、終盤アメリカ人のマックスが彼女に対して、カルカッタに来てよかったと思えたこと、この土地に居残ることを決意したこと、を述べるところ。何気ない台詞ですが、単なる旅行者が逃げることも傍観することもやめ、ある意味”人間”に戻った瞬間だと思います。

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