No.86
タイトル
チューズ・ミー
(原題)
CHOOSE ME
監督
アラン・ルドルフ
キャスト
キース・キャラダイン、ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド他
制作
1984年/アメリカ
ジャンル 恋愛ドラマ
上映時間
105分
評価
★★★
<ストーリー>
ある女性を訪ねて病院を抜け出した謎の男ミッキー(キース・キャラダイン)。恋愛に失敗し続けてきたバーの女主人イブ(レスリー・アン・ウォレン)。イヴのルームメイトであるアン(ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド)は女性向けラジオ番組の人気パーソナリティ。それぞれ心に悩みを抱え孤独に耐えながら都会に生きる3人に、イブに好意を寄せる男やその妻等が絡み合い、様々な恋の駆け引きが繰り広げられる.....。

<コメント>
都会の男女の人間模様を官能的な映像で紡ぎだすアラン・ルドルフ監督の作品。脚本も手がけています。
まず冒頭部分がいいですね。大御所テディ・ペンダーグラスのメロウ・ソウル『チューズ・ミー』をバックに少しアンダーグラウンドな雰囲気のストリートが映し出され、まるでミュージック・ビデオを見ているようです。これは良い意味での80年代テイスト。
同監督作品ではお馴染みのジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドやキース・キャラダインが出演、それぞれ持ち味を発揮しています。特に謎の男役のキース・キャラダインはハマり役ですね。よく考えれば行動も発言もとんでもなくキザな男なのですが、淡々とした雰囲気と前編に流れるソウル・ミュージックやサックスの音色がそれを野暮ったくなるぎりぎりで引き止めています。ラジオDJ”ドクター・ナンシー・ラブ”役のジュヌヴィエーヴ・ビジョルドもほとんど二重人格に近いキャラクターをうまく演じています。女性たちからの悩みに答えることによって女性として、人間としての居場所・幸せを感じているけれど、それゆえに人気パーソナリティという人格と現実の自分とのギャップに悩む。理性を飛び越えた歓びを知ってからのDJとしてのキャラクターの変化も説得力があります。
物語はラジオDJ”ドクター・ナンシー・ラブ”ことアンとそのルームメイトであるイブ、そしてイブがオーナーを務めるバーにやってきた流れ者ミッキーの3人を中心に展開されます。それぞれが中心となるエピソードが流れるように描写される中、人間関係も複雑に絡み合ってきますが、それによって展開されるストーリーそのものにはあまり意味は無いようです。むしろ各人が経験する事柄について、それぞれがどう感じ、どう対処するかが重要になってきます(そうでなければアンが周囲の人間にドクター・ナンシー・ラブであることがばれ、さらにストーリーが展開されるのが普通でしょう。)。

恋愛に臆病で理性的なアン、刹那的な恋愛感情に身を任せて失敗を続けてきたイブ。流れ着いた街で出会う女性すべてに関係を求めるミッキー。それぞれの心に問題を抱えながら惹かれ合い、反発しながらも自分の居場所を求め続けます。アンとイブは対照的な生き方をしており、ミッキーのやることはまともとは言えませんが、3人に共通するのは最終的に自己(それが作られたものであれ何であれ)の感情を優先し、その場の陶酔感に浸ること。しかもそれは心のつながりと言うよりはたぶんに肉体的です。本当は心の繋がりを求めながらも、傷つくのを恐れ、刹那的に肉体の繋がりで満足を得ようとする登場人物たち。彼らの職業がラジオDJとバーのオーナーと言うのも象徴的です。アンのラジオ番組では話が佳境に入るとCMやニュースが入ってきますし、バーのカウンターでは一人と長くしゃべるよりもいろんな人との短い会話がほとんどです。
また、作品の演出的にもセックスに関する描写はほとんどなく、キスという行為だけが繰り返し、そして濃厚に描写されています。
肉体関係によって簡単に手に入れることが出来る男女の絆、しかしそれは電話相談に頼る女性たちの心と同じくはかなく脆いものです。自分の思うとおりのクライマックスを手に入れながら、微妙な表情を見せるイブを長映ししたラストシーンは印象的です。それでも都会に生きる孤独な大人たちは、快楽や陶酔に身をゆだねささやかな幸せにしがみついて生きるしかないのでしょうか。

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