No.98
タイトル
チャイナタウン
(原題)
CHINATOWN
監督
ロマン・ポランスキー
キャスト
ジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウェイ、ジョン・ヒューストン他
制作
1974年/アメリカ
ジャンル サスペンス
上映時間
131分
評価
★★★★
<ストーリー>
1937年、ロサンゼルス。元警官で今はやり手の私立探偵ジェイクは離婚専科。今度の依頼も夫の浮気調査だったが、頼んだ相手が実は偽物だったことから事件に巻き込まれる。彼女は何の目的でガセネタを掴ませたのか。そして次々に起こる殺人とジェイクに迫る脅しの手.....。

<コメント>
2002年の第55回カンヌ映画祭において『戦場のピアニスト』で見事パルム・ドールに輝いた(正直ちょっと意外でしたが)ロマン・ポランスキー監督の作品。
カトリーヌ・ドヌーヴを配した傑作『反撥』(1964)を始めとするサスペンスや『ローズマリーの赤ちゃん』(1968)に代表されるホラー等、心理描写のうまい印象的な作品が多く、個人的にも大好きな監督です。『ローズマリーの赤ちゃん』の印象が強いためか、一般的にはホラーが得意と評されることの多いポランスキー監督ですが、ここでは1930年代のアメリカを舞台にハードボイルドな世界を展開します。
この作品は1974年アカデミー賞11部門にノミネート、脚本賞を受賞しました。

少し斜に構えて社会から外れているものの、受けた依頼はプロフェッショナルにこなし、弱きを助け強気をくじく人情も持っている私立探偵、と言うのはいつの時代にも人気があるキャラクターだと思います。フィリップ・マーロウしかり、スペンサーしかり、工藤俊作しかり(笑)。この作品の主人公ジェイクもまさにそんなキャラクター。最初の依頼が浮気調査というのもお約束(?)。この愛すべきはみ出し者をジャック・ニコルソンが好演。70年代のニコルソンはホントいい味出してます。その他のキャスティングもばっちりはまっていて、被害者の妻で謎多き女を演じるフェイ・ダナウェイ、その父親ジョン・ヒューストン等、それぞれに味を感じさせる名演です。
脚本もよく出来ていて謎解きも結構楽しめますし、J・ゴールドスミスの音楽も雰囲気があります。しかしこの作品の肝は何といっても時代の空気を感じさせる退廃的な質感。これが見終わった後のなんとも言いがたい絶望感とにじみ出るような感動の入り混じった余韻に繋がるのです。ラスト...それは今までに食べたことも無いような苦いチョコの味。同じ私立探偵モノでもレイモンド・チャンドラー原作の一連の作品(ロバート・アルトマン監督の『ロング・グッドバイ』(1973)等)なんかと比べて相当に苦い。
この役に入れ込んだJ・ニコルソンはこの結末に納得がいかなかったのか、自ら続編「黄昏のチャイナタウン」(1990)を撮ります。時代を映す空気のようなものはさすがに本作には及びませんが、私立探偵モノとしてはそこそこ楽しめますので、ご興味のある方はぜひ。

<以下、ネタばれ注意!>
この作品はポランスキー監督が自ら出演している(ジェイクの鼻を切るチンピラ役がそうです)こと等もあって、ハリウッドに出てきた移民ポランスキーの状況を描いている、との解釈もあるようです。ベテランで名優のジョン・ヒューストンは差し詰めハリウッドの象徴でしょうか。そう考えると”負ける”結末もいっそう哀しく、味わい深いものに。いつの時代でも巨悪に立ち向かうことは出来るし、やりようによっては勝つことも出来る、しかし、運命には誰も逆らえない。私たちに出来るのはそこから何かを学びとり、後は時間とともに過ごすだけです。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送