No.141
タイトル
チェーン・リアクション
(原題)
THE CHAIN REACTION
監督
イアン・バリー
キャスト
スティーヴ・ビズレー、アーナ:マリア・ウィンチェスター、ロス・トンプソン他
制作
1980年/オーストラリア
ジャンル サスペンス
上映時間
98分
評価
★★★
<ストーリー>
中西部オーストラリアに大地震が起こったため、民間の核廃棄物処理会社WALDOの工場内のパイプが破損し宿直だったハインリック(ロス・トンプソン)は全身に汚水を浴びてしまう。放射能漏出の事実を隠そうとするWALDOに対し、ハインリックは危険を住民に知らせようとするが.....。

<コメント>
『チェーン・リアクション』と聞くと、1996年に製作されたアンドリュー・デイヴィス監督、キアヌ・リーブス主演の同名作品を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、こちらはオーストラリアで撮られたイアン・バリー監督の作品。公開当時は組織的隠蔽ものジャンル(?)における名作『チャイナ・シンドローム』(1979)のパクリという評判もあったようですが、確かにストーリは似ているし、B級っぽさは残るものの、個人的には同名の前作より楽しめると思います。
その大きな要因は、やはり撮影を手がけたのがオーストラリア出身のラッセル・ボイドであるということでしょうか。当サイトでも彼が撮影を手がけた『ピクニック・at・ハンギングロック』(ピーター・ウィアー監督)やの『ソルジャー・ストーリー』(ノーマン・ジュイソン監督)等を紹介してきましたが、アクションも風景描写もそつなくこなす人だと思います。なので、基本的には核廃棄物処理工場の事故を偶然知ってしまった夫婦が狙われるというサスペンス・ドラマなんですが、カー・チェイスもなかなかの迫力があります。猛スピードで走る車や派手な爆発等の場面では、思わず同じオーストラリア映画の『マッド・マックス』(1979)を思い出したりして。ちなみに車の修理工場のシーンではメカニック役としてメル・ギブソンが出演しています。ファンの方要チェックです。

全体的には緊張感も持続していて、カーチェイス等の山場もあるのでなかなか楽しめるのですが、工場側の隠蔽に至るプロセスや人間模様等がもっと描かれていればさらに厚みが出たかも。後、主人公が普通の夫婦なのでスケール感には乏しいですね。まあ、これで主人公がマス・メディアの人間だと、それこそ『チャイナ・シンドローム』になってしまうかもしれませんが。逆に今の時代にこういう設定の物語を見ると、他人事として片付けられないから、ある意味リアリティがあるのかもしれません。日本でも原発に限らず食品メーカーや第3セクター等で事故や不正な接待の事実を隠蔽する事件をよく耳にしますが、まあ、組織っていうのは結局どこもそういうものなんですよね。組織の中に自身の行いに対するチェック機能がなければ、後は個人のモラルに頼るしかないわけで、組織と個人の利害っていうのは基本的には一致していますからね。もちろん客観的に見れば、事故は100%無くならないというのは誰もが理解できることで、事故が起こったときの対応や情報開示こそが大切なんだということは自明の理なんでしょうけれど、実際起こるとそうではなくなってしまうところが人間の怖いところ。ましてそれは単なるパニックに起因するようなものではなくて、企業や個人の私利私欲が原因なわけですから。それにしても白装束集団、不気味です。

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