No.165
タイトル
センチュリアン
(原題)
THE NEW CENTURIONS
監督
リチャード・O・フライシャー
キャスト
ジョージ・C・スコット、ステイシー・キーチ、ジェーン・アレクサンダー他
制作
1972年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
103分
評価
★★★★
<ストーリー>
ロサンゼルス警察の新人ロイ(ステイシー・キーチ)がパトロールに配属されたのは、LAで最も犯罪の多い地区だった。相棒はこの道25年のチルビンスキー(ジョージ・C・スコット)。ある日、犯人を追い詰めたロイは撃たれ、重傷を負ってしまう。それでも警官を辞めない夫に、妻は愛想をつかして家を出て行こうとする.....。

<コメント>
『ミクロの決死圏』(1966)、『トラ・トラ・トラ!』(1970)等、SFやアドベンチャーの分野で娯楽大作を数多く世に送り出してきたアメリカ映画界の重鎮リチャード・O・フライシャー監督の作品。原題”The New Centurions”とは、ローマ時代に治安をうけもった”Centurions=百人隊”からとったもので、現代の百人隊(ニュー・センチュリアンズ)という意味。バックに流れるクールなストリート・ミュージックを手がけたのはアメリカ音楽界のドン、クインシー・ジョーンズ。

ロス市警の警官たちが主人公なのでジャンル的には”刑事モノ”と言えるかもしれませんが、悪役を捕まえるだけの物語ではありませんし、内部告発的なドラマでもありません。アクションシーンはそれなりありますがメインではない。あくまでもロスを舞台に繰り広げられる警官たちの地道な努力や危険極まりない日常を淡々と描き出しています。そういう意味ではかなりハードなテイストです。
前半の主人公となる名優ジョージ・C・スコットが人情味あふれる刑事を渋く演じていて、一見ベテラン刑事と新米刑事の友情ものか?と思わせます。こんな刑事たちがいてくれたらいいだろうなという感じ。しかし、ベストセラーとなった小説の原作者ジョセフ・ウォンボーは元ロサンゼルス警察の警巡査部長。やはりそれだけにはとどまらない。とにかく次から次へと事件やトラブルが絶えません。売春婦の取締りから強盗の追跡、そして銃撃戦等々。映像的にほとんどドキュメンタリーと思わせる雰囲気の場面もあって、ヒリヒリとした緊張感が伝わってきます。この作品がどれだけロスの現実を描き出しているのかわかりませんが、2割程度差し引いたとしてもとてつもなく無秩序な世界です。肝心の法律はどんどん変わり、現場はさらなる忍耐力と勇気を強要されます。結果、街を守るのはほとんど警官個人の良心と正義感だけ。それでも穏やかな老後や家族のためにタフな日常をやり過ごし、街のために命を張る警官たち。そして内的にも外的にも彼らを飲み込んでいく厳しい現実。それだけの危険にさらされながら、それゆえに家族からはほとんど理解されないところもかなり苦い。ロスでの警官の給料がどのぐらいのレベルなのかはわかりませんが、作中から察するに人からうらやましがられるような額ではないことは明らかです。
もちろん、犯罪の多い恐ろしい街、という描写だけでなく、そこで一生懸命暮らしている人々に対する優しい視点、ただ単に法を盾にして取り締まるだけではない現場の人情を描いた部分もあります。しかし、この街で平和のために払われる代償はあまりにも大きい。街であれ、人であれ、守るべきものがあるということの大切さ、そしてその難しさを教えてくれる作品。

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