No.481
タイトル
赤い部屋の恋人
(原題)
THE CENTER OF THE WORLD
監督
ウェイン・ワン
脚本
エレン・ベンジャミン・ウォン
キャスト
ピーター・サースガード、モリー・パーカー他
制作
2001年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
87分
評価
★★★

【 ストーリー 】
リチャード(ピーター・サースガード)は、インターネット・トレーディングで成功をおさめた若者。しかし外の世界とあまり関係を持たず、特に父親が亡くなってからは部屋に引きこもる日々。ある日、昼はバンドのドラマー、夜はストリッパーという女性フローレンス(モリー・パーカー)と知り合う。彼女に興味を示した彼は、彼女が働く店に出向く...。

【 コメント 】
『スモーク』(1995)でコンビを組んだウェイン・ワン監督と作家のポール・オースターによる官能的なドラマ。孤独な男とストリッパーがラスベガスでお互いの愛を求め、探り合う姿を描いています。ちなみに脚本家のエレン・ベンジャミン・ウォンは、ウェイン・ワン、ポール・オースター、オースターの妻でもある作家のシリ・ハストヴェットの3人の共同ペンネーム。主演は『フライトプラン』(2005)のピーター・サースガードと『沈みゆく女』(2000)のモリー・パーカー。

この製作陣で原題が『THE CENTER OF THE WORLD』となれば、”アメリカ”という国を思い浮かべざるを得ません。主人公のリチャードは、まさに資本主義の申し子のようなキャラクター。コンピュータに向かい、インターネットを駆使して、お金からお金を生み出します。片手にはピザで、片手にはマウス。携帯電話で遠く離れた相手と取引。それで莫大な資産を稼ぎ出し、心も体も満たされているならまだしも、そうでないところが現代人の最大の悩み。父親を亡くしてから引きこもっているというシチュエーションも、リーダー不在のアメリカを連想させます。擬似恋愛の相手役である女性フローレンスも、ドラマーと高級娼婦という二面性を備えています。濃い目の化粧を施して娼婦に変貌する様子を執拗に描くのも、内面と表層の分離を思わせます。おそらくどちらも自分であり、どちらも自分ではないのでしょう。
結局、男は心の隙間を埋めてくれる”愛”を求めるのですが、それを求める相手もいないし、求め方もわからない。人間関係を規定するルール、共通の敵の出現によって縮まる距離感、すべてがアメリカという国に置き換え可能です。
男と女の最後の一線を越えても、それは単なる肉体同士のつながりでしかなく、心の穴は大きくなるばかり。そして最終的に主人公が選んだのは自分がすべての中心にいられる、自分だけの世界という虚構の中で生きること。すべてが作られ、演じられている世界の切ない恋の物語です。

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