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No.177 |
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タイトル
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キャッチ22 |
(原題)
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CATCH-22 |
監督
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マイク・ニコルズ |
キャスト
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アラン・アーキン、マーティン・バルサム、アート・ガーファンクル他 |
制作
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1970年/アメリカ |
ジャンル |
ドラマ |
上映時間
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120分 |
評価
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★★★★ |
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<ストーリー>
時は第2次世界大戦中、所は地中海の小島にある米軍基地。爆撃機の乗組員ヨサリアン(アラン・アーキン)は奇行を繰り返すことで、戦場からの離脱を図る。しかし、周囲の人間も常軌を逸したものばかりで、それもままならない。やがて軍の上層部は厄介者の彼に対し、ある計画を立てる.....。
<コメント>
アメリカ映画界の重鎮マイク・ニコルズ監督作品。第2次世界大戦下の米軍キャンプで繰り広げられる醜悪な人間ドラマをブラック・ユーモアたっぷりに描いた作品。原作はジョセフ・ヘラー、脚本は名作『卒業』(1967)以来、同監督とは名コンビのバック・ヘンリー。
社会風刺が効きまくっている映画なのに、というのはおかしいかもしれませんが、キャスティングはかなり贅沢。個性派アラン・アーキン、歌手のアート・ガーファンクル、超ベテランのマーティン・バルサム、『チャンプ』(1979)のジョン・ヴォイト、大御所オーソン・ウェルズに若きマーティン・シーン等々。そしてこれらの俳優が演じる登場人物がすべて狂っています。主人公であるアラン・アーキン演じる爆撃手ヨサリアンは、爆撃という行為に恐怖を抱き、軍の理不尽なやり方に怒りをあらわにする、ある意味正気の人物なのですが、残念ながらそのままではいられません。戦場という”舞台”ではなく、狂った人間たちがうごめく”舞台”の登場人物となることによって、彼もまた狂わされていきます。
さまざまな場面がしつこいぐらいに繰り返されるカット・バックの手法は、狂気の行き着く先から逃れられないという運命を暗示するかのようであり、さらに皮膚にべっとりと張り付くような恐怖を感じさせます。社会風刺をこめた戦争映画という意味では他にもいろいろあると思いますが、この映画が他の作品と一線を画すのはやはりこのラストシーンがあるからでしょう。フランクリン・J・シャフナー監督の『パピヨン』(1973)を彷彿させるシーンは、美しい海の色とあいまって、人間の復活宣言とも取れる力強さ、突き抜け感にあふれています。もちろん爽快感の後に、果たして?、という疑問が浮かんでくるのですが。
製作されたのが1970年ということもあってか、米アカデミー賞にはノミネートすらされなかったようですが、反戦映画の秀作だと思います。
<以下、ネタばれ注意!>
序盤のアラン・アーキンとマーティン・シーンとの怒号の掛け合いや、終盤繰り広げられるジョン・ヴォイトの戦争の意味すら理解していない狂気の行動等、にやりとさせられる場面が盛りだくさんの本作ですが、個人的に一番響いたのは、厄介者を追い出すべく殊勲賞を与えられるはめになった主人公が授賞式に裸で出席する場面。あほらしい軍服を脱ぎ捨てたのではなく、生身の人間であることを取り戻すべく行ったこれぞ殊勲の行動。敬礼してもさまにならないし、勲章をもらっても止める場所さえない。見方によっては笑えないけれど、胸はスカッとします。強度のある行動とはいつもシンプルなものなのです。
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