No.121
タイトル
ブリムストン&トリークル
(原題)
Brimstone & Treacle
監督
リチャード・ロンクレイン
キャスト
スティング、デンホルム・エリオット、ジョーン・プロウライト他
制作
1982年/イギリス
ジャンル サスペンス
上映時間
85分
評価
★★★
<ストーリー>
交通事故の後遺症で植物人間同然の娘を抱え、困惑の日々を送るトム(デンホルム・エリオット)。そんなある日、彼は道端で異様な雰囲気の青年テイラー(スティング)と出会う。一見真面目なテイラーだったが、やがて不可解な行動を繰り返し、次第に家族を巻き込んでいく.....。

<コメント>
80年代を代表するロック・グループ「ポリス」(1986年に活動を停止、各メンバーはソロで活躍しています。個人的にも大・大・大好きなバンド)のフロントマン・スティングの初主演作品。監督は最近TV用シリーズの戦争もの『バンド・オブ・ブラザーズ』が話題となったリチャード・ロンクレイン。音楽を担当したのは ピーター・グリーナウェイ監督の一連の作品で知られるマイケル・ナイマン。ただ、音楽はポリスやスティングの楽曲もフィーチャーされていて、どちらかと言うとやはりそっちの方が印象に残ります。
この作品は日本では劇場未公開でしたが先般DVDも販売されました。

スティングは道行く人に絡み、何がしかの利益を得ようとする”たかり”の青年役。たまたま引っ掛かった男の娘が病気だったこともあり、ジキル&ハイド博士見たく、両親の前と娘の前で全く違う2面性を見せる謎の男。結構難しそうな役どころですが、まあそつなくこなしているという感じ。欲を言えば、もっと多重人格っぽいキャラクターにしても良かったかも。キレるところにもさらなる狂気が欲しかった。この頃のスティングって結構映画に出ているのですが、今考えると2年後に出演したデヴィッド・リンチ監督の『デューン/砂の惑星』なんかは意外と役者として成長していたんだなーと思いました。『デューン/砂の惑星』ではもう少し堂に入った”キレ”具合(?)を見せてくれます。
サスペンスとしての作品全体に緊張感を与えているのは、どちらというと彼が居座った家の主を演じるデンホルム・エリオット。イギリスでは何度も助演男優賞を獲得している実力派です。1986年には『眺めのいい部屋』でアカデミー賞助演男優賞にもノミネートされました。彼が演じる男も実は表と裏の顔を持っていて、ストーリー的にも彼の信仰に対する距離感と罪の隠蔽が肝になっています。本当はこの男の心象描写を中心にするべき作品かもしれませんね。
少し暗めで冷たい雰囲気の映像は作品にピッタリ。もっと神経症的なキャラクターがいっぱい出てくれば、かなりリンチ・ワールドっぽくなったかも。そうでなくても序盤はなかなか面白い空気感が出ています。途中に挿入されるミュージック・クリップっぽい幻想シーンもグッと惹き付けられますが、これはやっぱりスティングのおかげかなー。ポリスのミュージック・ビデオをあらためて見たくなりました。カッコいいです。

いずれにしてもスティングの初主演作ということで話題になった作品ですし、彼の演技や音楽が全編にフィーチャーされているので、どうしてもそこにフォーカスしてしまいますが、そういう情報を抜きにして見ると、意外とダークなサスペンスで、ラストの展開も捻りが効いていて楽しめるかもしれません。ただ、病気の娘とスティングの絡みはやっぱりイギリス映画、という感じでどうも見ていて居心地悪かったです。
ちなみにこの作品は1982年度モントリオール国際ニュー・シネマ&ビデオ・フェスティバルのグランプリを受賞しました。

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