D-Movie(No.167)
タイトル
ボディ・ダブル
(原題)
BODY DOUBLE
監督
ブライアン・デ・パルマ
キャスト
クレイグ・ワッソン、メラニー・グリフィス、グレッグ・ヘンリー他
制作
1984年/アメリカ
ジャンル サスペンス
上映時間
114分
評価
★★
<ストーリー>
ハリウッドの豪華な邸宅。若い美女(デボラ・シェルトン)が夜ごと窓辺で魅惑的なストリップを演じている。知人の頼みで近くの家に住むことになった男優(クレイグ・ワッソン)はそれを覗き見していたが、ある夜、彼女が惨殺される現場を目撃してしまう。彼は目撃者として犯人逮捕に協力しようとするが.....。

<コメント>
スリラー映画の代名詞とも言えるアルフレッド・ヒッチコック監督の継承者、ブライアン・デ・パルマ監督が、まさにヒッチコックに捧げたオマージュ。ヒッチコック作品(『裏窓』『めまい』)のプロットや手法を駆使し、B級エンターテイメント・スパイスをまぶして作り上げた作品です。

80年代、個人に巣食うアメリカの歪んだ狂気を抉り出したブレット・イーストン・エリスの小説『アメリカン・サイコ』。”昼はヤッピー、夜は殺人鬼”のコピーが衝撃的でしたが、そのコピーの通り、昼と夜でまったく違う2つの人間を演じていた主人公がパトリック・ベイトマン。そのベイトマンが同小説の中で「37回借りた」と語っている作品が本作『ボディ・ダブル』です。うーん、『アメリカン・サイコ』は結果的にメアリー・ハロン(『アンディ・ウォーホルを撃った女』(1995))が監督を務めましたが、今思えばデ・パルマ監督でも良かったかも。ちなみに私はこの小説を読んで以来、バーに行くと必ずといっていいほどJ&Bを頼みます。もちろんベイトマンに憧れているわけではなくて、安い割りに”酒を飲んでる”という感覚を味わえるところが好きなんです。でもあんまり置いている店って無いんですよね。

閑話休題。本作は主人公がいきなり閉所恐怖症だったり、望遠鏡でのぞくという設定が重要な鍵になったりと、ヒッチコック作品をご存知の方は”にやり”とする場面がいっぱい。さらにエロ・グロ描写や冒頭と終盤に出てくるトリック的演出等、デ・パルマ監督のやりたいことが全部詰まった作品という感じです。脚本もなかなか考えられていて、どんでん返しもちゃんと用意されています。80年代に一世を風靡したイギリスのミュージシャン「フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド」が出演しているあたりも妖しくて楽しめました。と、見るべき点はそれなりありますし、部分的には面白いのですが、全体的には散漫な印象です。ストーリー展開の強引さなんかはしょうがないけれど、ヒッチコックに対する熱が高すぎたのか、”映画”としての距離感があるため、ぐいぐい引き込まれるような感覚は最後まで感じられませんでした。終盤の犯人との対決の場面もどたばた気味。サスペンスとしては、残念ながら彼の代表作の『ミッドナイトクロス』(1981)や『殺しのドレス』(1980)に及ばず。ベイトマンに選ばれる作品としては殺人描写は大人しいものの(でもないか)、エロさが過剰気味なのは、まあ、この監督が人が何に惹かれるかを良くわかっている結果として好意的に受け止めました。エンドロールの部分も、これまた観客へのサービスにあふれたショットで締め。しかし、せっかく「フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド」何かが出てるんですから、いっそのことロック音楽をバリバリに使っても面白かったかも。

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