D-Movie(No.190)
タイトル
ボブ★ロバーツ
(原題)
BOB ROBERTS
監督
ティム・ロビンス
キャスト
ティム・ロビンス、ジャンカルロ・エスポジート、アラン・リックマン他
制作
1992年/アメリカ、イギリス
ジャンル 政治ドラマ
上映時間
103分
評価
★★★
<ストーリー>
スター歌手で億万長者のボブ・ロバーツ(ティム・ロビンス)が、35歳の若さで上院議員へ立候補、マス・メディアを巧みに操作した演説やキャンペーンで熱狂的な支持を勝ち取っていく。だが一人のジャーナリストが、ロバーツとCIAの黒い過去を暴露。ロバーツ陣営は窮地に陥っていく.....。

<コメント>
クリント・イーストウッド監督の『ミスティック・リバー』(2003)で、とうとうアカデミー賞(助演男優賞)を射止めた実力派俳優、ティム・ロビンスの初監督作品。ハリウッドきってのリベラル派(彼と妻で女優のスーザン・サランドンは、しばしば戦争反対等の発言で物議を醸しています。脅しを受けたこともあるそうです)、ティム・ロビンスならではの批判精神溢れる演出でアメリカのメディアや保守派をこき下ろしています。
全体的にドキュメンタリー風に作りこんであるのですが、初めてとは思えない出来栄えです。『インディアン・ランナー』(1991)や『プレッジ』(2001)を撮ったショーン・ペンもそうですが、素晴らしい俳優は素晴らしい監督にもなりうるんですね。ティム・ロビンスの自信過剰な演技はもちろん、テレビ番組のニュース・キャスター役に結構有名な俳優を使っているあたりも気が利いてますね。手を抜いていない。主人公の側近にアラン・リックマンを持ってきたところも面白いです。
主人公のボブ・ロバーツがさまざまなメディアに映し出されることによって人格をあらわにしていく様は、まさにアメリカ社会ならでは。しかしそれはあくまでもメディアを通しての人間像であり、ほとんど虚像です。果たしてボブ・ロバーツなる人物が存在するのかどうかさえ怪しい。その空気感や不安感を拭い去るかのように、ボブは次々とメディアに出続けます。個人レベルの反論や中傷はお構いなし。アメリカでは、より強力なメディアを制し、駆使したものが勝つのです。人気歌手という成り立ちもあって、とにかく自身の曲を歌う活動が多いのですが、それも繰り返しによる洗脳効果を生んでいると思います。ミュージック・クリップは神様ボブ・ディランのパロディらしいのですが、元ネタを見たことが無いのでちょっとわかりませんでした。
政治を舞台にしている分、見る人によって好き嫌いは分かれると思いますし、例えば人種問題を真っ向から見据えたスパイク・リーの作品やマイケル・ムーアの本物のドキュメンタリーなんかと比べると少し毒が足らないような気がしました。しかし、テレビのニュース映像やミュージック・クリップを随所に挟み、テンポもよくてスピード感があり、最後まで飽きずに見られると思います。
同じようなコメディぽい政治モノで言うと、ヒップホップに媚びたウォーレン・ビーティ監督・脚本・主演の『ブルワース』(1998)やキャスティングに疑問の残るジョン・トラボルタ主演の『パーフェクト・カップル』(1998)あたりよりはオススメだと思います。日本でも政治やメディアを舞台にしたコメディ、というかパロディ映画がもっと出てきてもいいのではないかと思います。もちろん映画だけじゃなくてね。

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