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タイトル
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バード |
(原題)
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BIRD |
監督
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クリント・イーストウッド |
脚本
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ジョエル・オリアンスキー |
キャスト
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フォレスト・ウィテカー、ダイアン・ベノラ他 |
制作
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1988年/アメリカ |
ジャンル |
ドラマ |
上映時間
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161分 |
評価
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★★★★ |
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【 ストーリー 】
ジャズ史にその名を残す天才アルトサックス奏者、チャーリー”ヤードバード”・パーカー。ジャズの革新”ビ・バップ”を創始し、超人的な演奏で観客を熱狂させる一方、その身体はドラッグとアルコールによって徐々に蝕まれていく。死の影に怯える”バード”は、自ら更正しようと試みるが...。
【 コメント 】
ジャズ史上最も多くの人を魅了している天才アルト・サックス奏者、チャーリー・パーカーの自伝映画。”バード”は彼の愛称。1955年に34歳で夭折するまでの壮絶な生き様をクリント・イーストウッド監督が真摯に描いています。
クリント・イーストウッドのジャズ好きは有名な話。で、本作の映画化にあたっては、パリに住んでいたチャーリー・パーカーの未亡人、チャン・パーカーに脚本についてアドバイスを受けたそうです。さらに主役のフォレスト・ウィテカーら俳優たちも、未亡人と会って役作りのヒントを得たと。みんな本気ですね。
そんな未亡人のアドバイスもあってか、映画は大きなデフォルメもなく忠実にチャーリー・パーカーの人生の軌跡を辿っているように思われます。天から授けられた恐るべき才能、若くしての結婚、さらに子供も生まれるというあたり、ジャンルは全然違いますが、ポスト・パンクが産み落とした孤高の天才、イアン・カーティスの人生を思い浮かべてしまいました。
ドラッグに人生を翻弄されるところも同じ。もちろんドラッグに手を出すのは、即興性が求められるジャズという音楽のもたらすプレッシャーや金銭的な行き詰まりだけではなく、精神的な脆さもあったのでしょう。しかしながら、一人の人間が正気と狂気の狭間でバランスをとりながら、唯一無二の音楽を紡ぎだす様は、やはり感動的です。
こういう映画では、主人公がドラッグによる幻覚や幻聴に悩まされる様子を映像的に描写するものも多いですが、本作ではそういったシーンは出てきません(過去のフラッシュバックはあります)。心理的・肉体的な苦悩を役者に演じさせたイーストウッドも、またそれを演じきったフォレスト・ウィテカーもお見事。
およそ3時間近い作品の中でたっぷり出てくるライブシーンも素晴らしい。クラブの雰囲気・空気感の演出もこだわりが感じられます。バードの人生に圧倒されるもよし、素直にライブシーンを楽しむもよし、です。
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