D-Movie(No.192)
タイトル
白い肌の異常な夜
(原題)
THE BEGUILED
監督
ドン・シーゲル
キャスト
クリント・イーストウッド、エリザベス・ハートマン、ジョー・アン・ハリス他
制作
1971年/アメリカ
ジャンル サスペンス
上映時間
101分
評価
★★★★
<ストーリー>
南北戦争末期。南部の人里離れた森の中の女子学院に瀕死の北軍兵士ジョン・マクバニー(クリント・イーストウッド)が運び込まれたのが物語の始まり。院長のマーサ(ジェラルディン・ペイジ)らの手厚い看病の効あって、やがて回復した兵士に、戦争で男に飢えた女たちの生々しい欲情が迫っていく.....。

<コメント>
刑事モノアクション映画の金字塔『ダーティハリー』(1971)を生み出したドン・シーゲル&クリント・イーストウッドの最強コンビが取り組んだ異色作。南北戦争の末期、負傷した一兵士が偶然かくまわれることになった女子学院で体験する恐怖の物語を描いています。カウボーイや刑事等、クールでマッチョな役どころの多いクリント・イーストウッドの経歴における超問題作と言えるでしょう。
これはキャスティングの良し悪しの判断が難しい作品です。イーストウッドも正直言って適役なのかどうなのかわかりません。戦争のさなか男に飢えた女たちの的になる役としては、やはりある程度見た目が良くないといけませんし(実際、彼を取り巻く女たちにとって、男なら誰でも良いというわけではないことが作中で描かれています)、かと言って、ただ単にハンサムで優しい男ではラブ・ロマンスを通り越して滑稽な物語になってしまうでしょう。うーん、バッチリとは言えませんが、他に浮かぶ人もいませんし、やはりそれなりに合っているのかも。
女子学院自体はオープンな環境にあり、中盤以降イーストウッド演じるジョン・マクバニーも割と事由に動き回るのですが、それでも外界に逃げられない閉塞感と緊張感を保ち続けているあたりがうまいですね。さすが。マクバニーがただ単に延命を目的に立ち回るのではなく、それなりに”男”としての感情にも従っているところが、面白い。男性なら、「自分ならどうするか」と考えてしまうことでしょう。
イーストウッドの翻弄される演技や、院長以下のゆるやかな狂気もリアリティがあって、ちゃんとサスペンス(というか男の立場からするとほとんどホラーですね)として成立しています。途中のフラッシュ・バックの映像や主人公の苦悶のシーン等、幻想的な映像を適度に挿入してより異常な世界観を出すのに成功していると思います。ネタばれになるので控えますが、本作と同じようなシチュエーションで展開する作品として『ミザリー』(1990)が思い浮かびますが、こちらは女性の数も多く彼女たちの心理描写も見ごたえがあります。もちろん、本作の女性たち全員がよってたかってもキャシー・ベイツの迫力には届きませんが。
南北の確執、そして院長の個人的なトラウマ、さらに恋愛感情が複雑に絡み合い、さまざまな思惑が巧みにやり取りされる、見ごたえのある作品だと思います。しかしながら、ホラー・サスペンスファンには異色のキャスティングもあって楽しめると思いますが、ウェスタン作品や『ダーティハリー』シリーズ等でイーストウッド・ファンになった方、自虐的な作品を好まない方にはあまりお勧めは出来ないかも。

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