D-Movie(No.175)
タイトル
バーフライ
(原題)
BARFLY
監督
バーベット・シュローダー
キャスト
ミッキー・ローク、フェイ・ダナウェイ、フランク・スタローン他
制作
1987年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
101分
評価
★★★★★
<ストーリー>
結婚式をご機嫌な歌と司会で盛り上げる”ウェディング・シンガー”の仕事をしていながら、自分の結婚式の当日に花嫁に逃げられてしまったロビー(アダム・サンドラー)。ある時彼は結婚式を控えながら、今の相手が運命の人かどうか悩む女性ジュリア(ドリュー・バリモア)と出会う。境遇の似た二人の間には、友情を越えた愛が芽生えるが.....。

<コメント>
ロスの場末の酒場ゴールデンホーンには、人生に疲れた人々がたむろしていた。鋭い感性の若手作家ヘンリー・チナスキー(ミッキー・ローク)もその一人。社会の歯車に組み込まれるのを拒み酒に明け暮れ、気が向けばペンを走らせる日々。酒場の常連(バーフライ)たちの人間模様こそ彼の人生の糧だった。そんなある日、彼はバーで一人の女に出会う.....。

<コメント>
酔いどれ詩人、数あれど、この人の右に出るものはいないであろう親父、チャールズ・ブコウスキー脚本の作品。好きなんですよー、ブコウスキー。監督はバルベ・シュローデル。ブコウスキー本人ともいえる主人公ヘンリー・チナスキーを演じるのは、当時乗りに乗っていたミッキー・ローク。相手役は演技派フェイ・ダナウェイ。
ブコウスキー作品で映画化されたのはおそらく4作ではないかと思います。『つめたく冷えた月』(1991)、『魅せられたる三夜』(1987)、『町でいちばんの美女/ありきたりな狂気の物語』(1981)、そして本作。 そういえば、今や映画監督としてアメリカ映画界に不動の地位を確立しつつあるショーン・ペンがブコウスキーに捧げた映画『クロッシング・ガード』(1995)なんてのもありました。これいい映画です。ブコウスキーの世界を映像的に再現した、という意味では名優ベン・ギャザラと美女オルネラ・ムーティを配した『町でいちばんの美女/ありきたりの狂気の物語』が近いでしょうか。しかし、映画作品として見た場合、個人的には本作が一番好きですね。本作のチナスキーは原作よりちょっと頼りなくて、ちょっと優しいキャラクターなんですが、それが何とも憎めないんですよ。その分、文学性やインテリジェンスは少し控えめなんですけれどね。ブコウスキーと言えば、その哲学者のような顔つきやずんぐりとした大きな身体が印象的ですが、ミッキー・ロークの短足でだらしない感じも悪くないんです。なかなか雰囲気あります
。しかし、本作の前の主演作『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』(1985)やさらにその前の『ナインハーフ』(1985)あたりで彼のファンになった人は少しがっかりするかも。フェイ・ダナウェイはしっかりと存在感もあるし、実際すらりとした脚は美しい。酒場での喧嘩のシーンも迫力あります。
どうしようもなく飲んべえの男と、精神のバランスを崩した女。それぞれに事情を抱えながら、それでも相手を頼り、愛しながら生きていくさまが面白い。ブルジョワの代表とでもいうような役割を担わされた女性編集者の扱いが少しかわいそうですが、強くなくちゃ愛は得られない、底を知らない人間は弱い、って言うことで。身も心もボロボロだけれど、魂だけは誰にも触れさせない気高さを持ち続けるチナスキー。どんな男にも真っ向から挑み、ほとんど負ける。どんな女にも美を見出しますが、そのせいでトラブル続き。決して手放しで愛され、賞賛される人物像ではないけれど、人間誰もが憧れ、尊敬する生き方として映るのは、しっかりと人間に対する”愛”が魂の床に敷き詰められているからでしょうか。酔いどれ詩人は今日もどこかのバーで酒を飲み、人を罵倒し、思い切り女を愛し、そして倒れていることでしょう。

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