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タイトル
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ウディ・アレンのバナナ |
(原題)
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BANANAS |
監督
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ウディ・アレン |
脚本
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ウディ・アレン他 |
キャスト
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ウディ・アレン、ルイーズ・ラサー他 |
制作
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1971年/アメリカ |
ジャンル |
コメディ |
上映時間
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82分 |
評価
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★★★★ |
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【 ストーリー 】
とあるメーカーの商品検査員を努める冴えない男、フィールディング・メリッシュ(ウディ・アレン)は、ある日、平和運動の活動家ナンシー(ルイーズ・サラー)に一目ぼれ。何とか彼女と結ばれるもあっさり振られ、失意のままに、紛争の真っ只中にあるサンマルコ共和国の革命軍に身を投じる。相変わらずヘマばかりの彼だったが、なぜかリーダーに祭りあげられ、果ては大統領になってしまう...。
【 コメント 】
監督・俳優業以外にもさまざまな顔を持つ才人・ウディ・アレンの第2作目の監督作品。冴えない男が政治運動家の女に振られ、傷心のままに南米に渡り、ゲリラ軍に参加して革命を起こし、さらには大統領になってしまい...という、とにかくハチャメチャなストーリー。主人公のダメ男・フィールディングをウディ・アレン自らが演じ、最初から最後までテンション高く暴れまくります。
ウディ・アレンの”笑い”は徹底してシニカルでアイロニカル。一見”ボケ”はわかりやすくてベタなんですが、その背後にはとんでもない皮肉や軽蔑が隠されています。この表層の部分だけで(もちろんそうでない場合もありますが)判断してしまうと、ただ単におかしなお兄さんがすべっているだけにしか見えません。しかも”やりすぎる”こともありますし、誰がどう見てもいじめられっ子ぽい風貌もあり、見るのも痛々しい場面も多いです。
なので、ウディ・アレンの作品は、個人的にもかなり好き嫌いがはっきりするのですが、本作では、書店でポルノ雑誌を買うシーン、食料品を調達するシーン、めちゃくちゃな通訳を行うシーンなどなど、単純に笑えるシーンがたくさんあります。法廷シーンも、ここまでやるか、という感じ。物語は奇想天外なんですが、そうやって彼の笑いに誘われているうちに、映画そのものにも引き込まれてしまいます。
今の時代に見ても、政治や宗教に対する毒は薄れていないと思いますが、当時はどのような感情を持って受け入れられたのか(もしくは受け入れられなかったのか)非常に興味深いですね。
結局、ラブストーリーとして映画は収束するのですが、ここでたち現れる余韻は、後の『アニー・ホール』(1977)を予感させます。冴えないダメ男の狼藉ぶりの中に、ひたむきさを感じた瞬間、彼に対する怒りは切なさに変わります。ちなみに、まったく無名時代のシルベスター・スタローンがチンピラ役で出演しています。チョイ役なのでお見逃し無く。
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