D-Movie(No.137)
タイトル
赤い風船
(原題)
LE BALLON ROUGE
監督
アルベール・ラモリス
キャスト
パスカル・ラモリス、シュザンヌ・クルーティエ他
制作
1956年/フランス
ジャンル ドラマ
上映時間
35分
評価
★★★★
<ストーリー>
モンマルトルの街の中で大きくて真っ赤な風船を見つけた少年(パスカル・ラモリス)。早速その風船を捕まえた彼は、風船のせいで電車に乗れなかったり、先生に怒られたりしながらも一緒に行動を続け、徐々に風船と心通わせていくが.....。

<コメント>
モンマルトルの街並みを舞台に少年と風船が繰り広げるエピソードを切り取った作品。歴史を感じさせる石畳の続く街並みを背景に、少し色あせた感じの抑えの利いた色彩の映像。で、そこにタイトル通り”赤い風船”が現れるのですが、この赤色がすごいインパクト。風船とは思えないつるんとした質感で、しかもドキッとするほど鮮やか。赤い色って、こんなチカラを持っていたんだ、と思わせられます。その大きさといい、色といい、それが普通に街中に存在しているだけで、かなり異質なモノを感じさせるのですが、一緒に路面電車を待っていたおばあさんが風船を迷惑がったり、たたこうとしたり、ドキュメンタリーっぽい映像のせいもあって、リアリティを失わないところが面白い。そういう意味では、風船が生きているように演技する(?)ところもお話が子供っぽくならない理由のひとつかも。ストーリー的には絵本でもいいのだけれど、絵本だとほんとに子供向けで終わりそう。演出や音楽の効果等もしっかりしているから、単なる童話でなくて何か寓話めいた雰囲気を感じさせます。
全体的にほのぼのとしていながら、スリルも感じさせる山場も含む脚本も秀逸。また、風船と子供の絡みも本当に自然で驚きです。主人公の男の子はラモリス監督の息子さんらしいです。しかし、実際この風船が動く場面って、どうやって撮ったのでしょうね。
ファンタジーってとにかく非日常的な世界と捉えがちで、何か、とんでもない大きな装置や手の込んだ細工を施さなければならないような気がしますが、この作品を見れば決して現実から遠く離れたところでなくても存在できるものなのだということがわかります。もちろん、この作品のようなことが現実に起こりえるはずはありませんが、手法として、非現実的なモノを作り出して見せるだけではなく、見る側の想像力を刺激してこそ、さらに世界が広がるというものですよね。時間にして30分ちょっとしかありませんが、切れ味鋭い短編です。
ちなみにこの作品は1956年カンヌ国際映画祭の短編グランプリ、及びアカデミー賞の脚本賞を受賞しました。

【以下、ネタばれ注意!】
少年が風船を引き連れて淡々と街を歩くシーンでさえ、じっと見入ってしまう素晴らしさですが、やはり心に引っ掛かるのは、風船が死んでしまうシーン。このシーンが予想以上に長いのですが、それが逆に風船に命を吹き込んでいるようです。そしてここがしっかり演出されているからこそのラストシーン。”人”とか”風船”とか、すべての記号は無意味となり、ただ心と心の交流だけが唯一確かなものとしてさわやかな余韻を感じさせてくれます。あーそれにしても、一度やってみたい。

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