D-Movie(No.106)
タイトル
アルゴ探検隊の大冒険
(原題)
JASON AND THE ARGONAUTS
監督
ドン・チャフィ
キャスト
トッド・アームストロング、ナンシー・コヴァック、ゲイリー・レイモンド他
制作
1963年/イギリス
ジャンル アドベンチャー
上映時間
109分
評価
★★★
<ストーリー>
時は神話の時代、国王である父を殺され、復讐の念に燃える王子ジェーソン。彼は神々の予言に導かれ、国に幸福をもたらすという“黄金の羊の毛皮”を求めて旅立つことになる。女神ヘラの庇護を受けながら、ジェーソンをリーダーとするアルゴ探検隊の一行は数々の苦難に立ち向かっていく.....。

<コメント>
世界を代表する特撮アニメの巨匠、レイ・ハリーハウゼンが特撮・製作を手がけた作品。CGがここまで普及する前は、実写映画の特撮シーンと言えば、彼が作るストップモーション・アニメ(ダイナメーションとも呼ばれます)を思い浮かべたものです。コマ撮りによって生まれるクリーチャーたちの独特の動きはここでも健在。監督を手がけたのは名犬ラッシー・シリーズを手がけたこともあるドン・チャフィ監督。

ハリーハウゼンは引退を表明してしまったため、彼のストップモーション・アニメはもう過去の作品としてしか見られませんが、同様の工程を経て製作される、いわゆる”クレイ・アニメ”の人気はますます高くなっているように思います。有名なところでは天才クリエイト集団アードマン・アニメーションズの『ウォレスとグルミット』やスイス生まれの『ピングー』なんかがそうですね。
こういうアニメがちゃんと人気を博し、評価されるというのは、人間の想像力が廃れていない証拠だなあと思い嬉しくなります。むしろリアルさのみを追求するCGは、まだまだ技術的にも進歩の過程にあるため、少し前の作品を見ると逆に技術的な古さが露呈して興ざめになることがあります。以前『ゴーストバスターズ』(1984)を久しぶりに見たときに、リック・モラニスに乗り移った破壊神のCGのあまりのちゃちさにがっくりした思い出があります。『スパイダーマン』が映画化出来たのはCGの技術の進歩のおかげだ、という話もありますし、ジョージ・ルーカスは過去の『スター・ウォーズ』作品に最新CG技術を加えてリメイクしました。まあCG業界もそれはそれでいろいろありますね。
ハリー・ハウゼンが手がけるストップモーション・アニメがなぜ楽しいのかというと、個人的には”わくわく”感が体験出来るからだと思います。これはCGでも同じかもしれませんが、ストップモーション・アニメの方が”普段動かないはずのものが動いている”感、もしくは”見たことも無い生き物が動いている”感が強いのです。簡単に言うと”味”ということでしょうか。逆にストップモーションのギクシャクした動きが、実際の現実では目にすることの出来ない動きであるからかもしれません。『シンドバッド七回目の航海』(1958)でシンドバッド一行が出会うサイクロプス(馬の下半身を持つ、一つ目の怪物)の異形さ、異物感が果たしてCGで出せるかどうか。怖いもの見たさ、始めて出会う驚き、そういった感覚は子供の頃に誰もが何らかの形で体験します。そういう感覚を、このアニメはあらためて味あわせてくれるのだと思います。

物語は国王である父親を殺された王子が、国に平和をもたらすと言われている”黄金の羊の毛皮”を求めて旅する物語。青銅の巨人テイロス、怪鳥ハーピー、7首の竜ヒドラ等々、圧倒的な存在感を見せるクリーチャーたちが続々出現します。神々の目線から世界を描いた視点も面白いです(実際に世界がこんなだと少し嫌ですが)。ストーリー的には続編がいくらでも出来そうな展開で、スケールは大きいですね。アニメではありませんが、ヘラクレスが登場したり、競技会(今のオリンピックの元祖)が開かれたり、なかなか盛りだくさんで楽しめます。

なお、レイ・ハリーハウゼンは1981年の『タイタンの戦い』(ここでのメドゥーサは圧巻!)を最後に第一線を退き、1986年に引退しましたが、1991年に優れた技術者に送られるアカデミー賞(ゴードン・E・ソーヤー賞)を受賞しました。
現在ソニー・ピクチャーズから、オリジナル・フィギュアを含む傑作選DVD集が発売されています。何でもかんでもおまけにフィギュアをつける昨今の風潮には嫌気がさしますが、彼の場合はぴったりですね。完全限定生産ということなので、ファンの方はお見逃し無く。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送