D-Movie(No.164)
タイトル
幸せはパリで
(原題)
THE APRIL FOOLS
監督
スチュアート・ローゼンバーグ
キャスト
ジャック・レモン、カトリーヌ・ドヌーヴ、ピーター・ローフォード他
制作
1969年/アメリカ
ジャンル 恋愛ドラマ
上映時間
95分
評価
★★★
<ストーリー>
仕事はウォール街の指折りの証券マンでも、妻と子供には相手にされず、飼犬にも吠えられる気の弱い中年男ハワード(ジャック・レモン)。そんな男が社長宅で開かれたパーティで、とびきりのフランス美人カトリーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)に一目ぼれ。しかし彼女は何と自分の上司である社長の夫人だった.....。

<コメント>
フランスが生んだ”世界一の美女”カトリーヌ・ドヌーヴがハリウッドに進出した記念すべき作品。名優ジャック・レモン演ずる普通のサラリーマンが自分が勤める会社の社長夫人に恋をしてしまう物語。監督は60〜70年代に幅広いジャンルの作品を手がけ、ポール・ニューマン主演の『暴力脱獄』(1967)等、名作を数多く残したスチュアート・ローゼンバーグ。
まず冒頭のパーティのシーンがいいですね。映像的にも当時の雰囲気や色彩が感じられて楽しいです。その中で普通のサラリーマンのジャック・レモンが”楽しくない”のが面白い。重厚長大な強さが幅を利かすアメリカ社会の中で、ジャックレモンの気の弱い優しいキャラクターは、見ているだけでホッと安心させてくれる稀有な存在。作中では彼の少しずれた(本当は彼こそ普通なのですが)振る舞いがささやかな笑いを呼びますが、決してヒステリックにならずちょっと心をくすぐられる感じがいいです。
パーティの場面にはインパクトの強い女性が多数登場しますが、それでもドヌーヴの存在感は秀逸。もうちょっと「小悪魔的」(って今でも言うのかなあ)でも良かった気がしますが、やはりいいですねー。最初は社長夫人という設定もあって、少し気の強さが表に出ていますが、夫の愛が感じられなくなったことを告白するあたりはかわいさ爆発といった感じです。フランス生まれのドヌーヴが、アメリカの上流階級社会の中に身を置きながら全く愛を感じられない、というのは見方によってはとても辛らつに聞こえます。
脚本自体はとてもシンプル。そもそも出世を果たしたとはいえ、特に取り柄の無い一介の社員と美人の社長夫人とが一目ぼれで魅かれあう、というのは出来すぎの話で、しかもそこから駆け落ちまでの決断が早すぎるのですが、まあ、ここではそんなことを突っ込むのは野暮というもの。公園にずらっと並んだベンチの中で二人で過ごすシーンなんかいいですね。多分、幸せってこんな感じ。
バート・バカラックによる名曲「幸せはパリで(原題:The April Fools)」を始め、素晴らしい音楽をちりばめた大人のための恋愛ファンタジー。

<以下、ネタばれ注意!>
主人公のサラリーマン役がジャック・レモンでなければ、愛に飢える女が魅かれた”純粋さ”が子供っぽくみえてしまい、なんとも鼻につく物語となっていた気がします。パリでどういう生活が待っているにしろ、現実世界に疲れた二人がそれぞれに愛という感情を取り戻したこと、そして愛するもの同士が困難がありながらも結ばれたこと、それによって見ているこちらも幸せを感じることが出来るのがこの作品のいいところ。ハッピーエンドだけれど、男の純粋さゆえになぜか切なさも感じてしまうところも印象的。

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