D-Movie(No.230)
タイトル
アントニアの食卓
(原題)
ANTONIA
監督
マルレーン・ゴリス
キャスト
ヴィレケ・ファン・アメローイ、エルス・ドッターマンス、ヤン・デクレイル他
制作
1995年/オランダ、ベルギー、イギリス
ジャンル ドラマ
上映時間
103分
評価
★★★★
<ストーリー>
戦後間もないころ、オランダのとある小さな村に、アントニア(ヴィルケ・ファン・アメローイ)が娘のダニエルを連れて戻ってくる。古い道徳観に凝り固まった村人たちは、新しい価値観を持った彼女と打ち解けられずにいた。しかし太陽のような温かさと、大地のような包容力で村人に接する彼女を徐々に慕うようになる.....。

<コメント>
奔放な性格の女性アントニアを中心に4代にわたる女たちの生き様を描いた物語。監督は本作で199年アカデミー賞・外国映画賞に輝いたマルレーン・ゴリス。
オランダ映画って、いろんなものが入り混じっている感じがして好きなんですが、本作もそう。一人の女性を中心にさまざまな人間が登場するのですが、それがみんな変わり者。それでもユーモアと毒のバランスが取れているのでなぜかリアリティも感じてしまうんです。素朴で静かな映像も美しいです。
本作を見ていてまず伝わってくるのは女性の強さ。アントニア以下、彼女の娘や孫はみなそれぞれに自立を望み、男たちには何も期待していません。男たちは繊細すぎるか単純すぎるかのいずれかで、大体が悲惨な死を遂げてしまいます。もちろん本作では死ぬのは男だけではありません。誰もが分け隔てなく死と隣り合わせにあり、偶然か必然かはわかりませんが、舞台となる村の住民の何人かは突如”生”から引き離されます。
アントニアはその恰幅の良さもあって、最も生命力の強さを感じさせる存在ですが、彼女の発言や考え方からは、常に死を意識していることが伺えます。それは何も悲観的な意味ではなく、だからこそ命というものを尊び、生を喜び、楽しむことができるのでしょう。私たちの世界は、常に今”生きている”人々と、今”死んでいる”人々によって構成されています。セックスもここでは神聖化された意味づけはほとんどなされていません。実際アントニアの娘は夫は要らないけれど子供は欲しいと見ず知らずの男に身を任せ、セックスが終わるとすぐに逆立ちを始めます(効果があるのかな?)。「私たちは何のために生きているのか」、その疑問に囚われた人間は長く生きていられません。目をそむける、という事ではなく、とにかく今、生きているという事を認識し、自らの意志に忠実に生きることが私たち人間に課せられた使命であるかのようです。アントニアの優しさと哀しみが切なく、そして美しい作品です。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送