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タイトル
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アニマル・ファクトリー |
(原題)
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ANIMAL FACTORY |
監督
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スティーヴ・ブシェミ |
脚本
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エドワード・バンカー他 |
キャスト
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エドワード・ファーロング、ウィレム・デフォー他 |
制作
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2000年/アメリカ |
ジャンル |
ドラマ |
上映時間
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95分 |
評価
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★★★ |
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【 ストーリー 】
裕福な家庭に育ったロン・デッカー(エドワード・ファーロング)は、大麻所持の罪で刑務所に送られる。そこでは差別や暴力が日常的に行われていた。彼はなぜかリーダー格のアール(ウィレム・デフォー)に気に入られ、彼らのグループの仲間となり、さまざまなトラブルに見舞われながらも何とか平穏な日々を過ごしていたのだが...。
【 コメント 】
超・個性派俳優スティーヴ・ブシェミ監督第2作。俳優で脚本家のエドワード・バンカーの実体験に基づく物語。日本未公開の作品です。
刑務所内にうずまく、男たちの欲望と暴力。そんな中に放り込まれた若者ロン・デッカーと、刑務所を仕切るリーダー・アールとの友情を描いた物語。
ウィレム・デフォー、エドワード・ファーロング、ミッキー・ローク、シーモア・カッセル、ダニー・トレホなどなど、渋い俳優を揃え、 さらにブシェミ自身も出演するという通好みのキャスティング。スキンヘッドのウィレム・デフォーはもちろん、強烈なゲイ役のミッキー・ローク、登場するだけで画面に”男の哀愁”フィルターがかかるシーモア・カッセルなど、非常に印象的な登場人物が多いのですが、内容的には刑務所内の日常が淡々と繰り返されるという静かな展開。ブシェミの真面目な姿勢が伝わってきます。もちろん、暴力・陰謀などのエピソードも登場しますので、アクション、暴力映画ないしは脱獄ものとして観ることも出来るかもしれませんがが、それ自体は特筆すべきものではなく、あくまでもロンとアールとの関係性をじっくりと描いています。ただ、アールの存在感に対し、ロン=エドワード・ファーロングが少し物足りなかったかも。というより、デフォーのインパクトとロンに対する愛が感じられる優しいまなざしの演技に食われてしまったのでしょうか。かわいい顔はしているんですが。
いっそのことモノクロ映像にして、もっと思い切り静かで内省的な作品にするか、ドキュメンタリータッチにするか、そういう方向性でも良かったのではないかと思います。まあ、ただ単にシーモア・カッセルをモノクロで見たいだけです(笑)。
それでも、やはりラストシーンは切なく心に残りました。アールが求めたのは、実は愛ではなく、他人との信頼関係だったのかもしれません。そしてそれは、やはり刑務所という悪意に満ちた世界の中では成立しないものなのでしょう。
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