|
|
タイトル
|
アバウト・シュミット |
(原題)
|
ABOUT SCHMIDT |
監督
|
アレクサンダー・ペイン |
脚本
|
アレクサンダー・ペイン他 |
キャスト
|
ジャック・ニコルソン、キャシー・ベイツ他 |
制作
|
2002年/アメリカ |
ジャンル |
ドラマ |
上映時間
|
125分 |
評価
|
★★★ |
|
【 ストーリー 】
ネブラスカ州オマハで妻と暮らすウォーレン・シュミット(ジャック・ニコルソン)は、長年にわたって勤め上げた保険会社”ウッドメン”を定年退職。同僚や友人たちによる盛大な引退記念パーティも終え、第2の人生を歩み出していた。ところが、待っていたのは退屈な日常。しかも彼が思っているほど、周囲の人間から愛されていなかったことが次々と判明し...。
【 コメント 】
ジャックニコルソン演じる”普通”の男シュミット。保険会社を定年まで勤め上げ、妻と娘に囲まれ、豊かな第二の人生を歩めるかと思いきや、次々と不幸に見舞われてしまう。彼の心のよりどころは、遠く離れた貧しい国の子供へのお金の援助。そんな彼に幸せはやってくるのか...という物語。
『恋愛小説家』(1997)、『プレッジ』(2001)と、立て続けに”孤独”なキャラクターを演じてきたジャック・ニコルソンですが、本作のキャラクターはその極みと言えるかもしれません。
定年まで一生懸命仕事に励み、会社に尽くし、家庭のためにがんばってきたはずなのに、ふと周りを見回してみると、誰も自分を愛しているものはいない。単純に家族がいないとか、友人がいないとかではなく、これほど孤独な状況はありません。その孤独感を表現しているのが、ジャック・ニコルソンの表情の演技。多くの言葉を用いずとも、顔の表情だけですべてを語ります。
ただ、がむしゃらにがんばってきた男を襲う人生の下り坂、という話であれば救いがありませんし、かといって、シュミットが己のことしか考えず、周りの人間とは表面上の付き合いを装っていただけの皮肉屋という演出(おそらく原作ではそうなのではないかと思います)も弱く、いずれにしても惨めさばかりが浮かび上がってくるところが残念。血のつながった人間はみな薄情で、近くの他人に救われる、という意味ではアメリカ版『東京物語』でしょうか。
空虚で世俗的なアメリカの実情を描いているという見方もあるかもしれませんが、シュミット以外の人々、特に娘の嫁ぐ先は、どうしようもない人たちではあるものの、シュミットよりよほど人間らしい、そういう意味では、ニコルソン自身が出演していたアメリカン・ニューシネマの一連の作品の方が、アメリカに漂う虚無感を描いていたといえるでしょう。”あれから何も変わっちゃいない”というのであれば、それはそれでひとつの視点ですが。
|
|
|
|
|
|
|
|