No.36
タイトル
デッドマン
(原題)
DEAD MAN
監督
ジム・ジャームッシュ
制作
1993年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
96分
評価
★★★★★
<ストーリー>
アメリカ東部から職を求めて西部の街”マシーン”にやって来た会計士ウィリアム・ブレイク(ジョニー・デップ)。しかし紹介状があるにも関わらず職を得ることは出来ず彼は一人途方に暮れていた。そんなとき彼は、町で出会った花売り娘を巡るトラブルから、思いもよらず殺人を犯してしまい、その結果、懸賞金のかかったお尋ね者となり、様々な人間から狙われる身となる.........。

<コメント>
『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984)以降、独自の視点と演出で個性的な作品を撮り続けるジム・ジャームッシュ監督が脚本も手掛けた作品です。
これは過去見た映画の中でもかなり好きな作品です。もともと個人的に好きな監督なのですが、この作品を見たときは一回りも二回りも大きくなったような気がしました。ジム・ジャームッシュ監督は少なくとも長編ではこれ以上のものはもう撮れないのではないか、ぐらいに思ってます(彼の最新作『ゴースト・ドッグ』(1999)を見て改めてそう思ってしまいました)。
モノクロ映像の美しさ、彼の履歴の中でも出色の出来と思えるジョニー・デップのさ迷える演技、ニールヤングの音楽、どれもが素晴らしく、詩的で魂を揺さぶられる作品です。ただ詩的と言っても彼の作品としてはストーリーがきちんとある方なので(笑)分かりやすいと思います。

ジム・ジャームッシュはユーモアのセンスがある分(少なくとも私はそう思ってます)、やり過ぎると作品の緊張感が失われる場合があるのですが、今回はうまくバランスがとれています。
撮影を担当したのはヴィム・ベンダース監督作品でも知られるロビー・ミューラー(『パリ、テキサス』(1984)、『奇跡の海』(1996)等)。この美しいモノクロ映像は必見。彼はこの作品でNY批評家協会賞の撮影賞を受賞しています。また、即興で付けられたニール・ヤングのギターの音色もすさまじい。これほど映像とリンクする音楽もめずらしい。フランスのルイ・マル監督の『死刑台のエレベーター』(1957)にはジャズ界の帝王マイルス・デイビスが即興で素晴らしい音楽を奏でましたが、映画と音楽は時にとんでもない爆発を引き起こすものですね。主人公をとりまく俳優陣も結構豪華で楽しませてくれます。特に冒頭に登場するクリスピン・グローヴァーは別世界の人間。その他ロバート・ミッチャム、ジョン・ハート、イギー・ポップらの怪演も見どころです。

アメリカの原風景をさまよう詩人、ウィリアム・ブレイクの銃弾。物言わぬ鉛の銃弾は人間にたどり着き、血と魂をえぐり出す。果たして人間は、そしてその魂は一体どこにたどり着くのか?

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