D-Movie(No.643)

・邦題:『扉をたたく人』
・原題:『THE VISITOR』
・監督:トム・マッカーシー
・脚本:トム・マッカーシー
・キャスト:リチャード・ジェンキンス、ヒアム・アッバス他
・制作:2007年/アメリカ
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:104分
・評価:★★★★


【 コメント 】
ふとしたことから知り合った、初老の大学教授と移民青年との心の交流を描いたドラマ。監督は本作が2作目のトム・マッカーシー。主人公の大学教授ウォルターを演じたのは、どちらかというとバイプレイヤーとしての役柄が多かったベテラン俳優のリチャード・ジェンキンス。見事初主演作で、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされました。

コネティカット州の大学で教鞭を執る初老の大学教授ウォルター。彼は愛する妻がこの世を去ってから心を閉ざしたまま。あらゆることに前向きになれず、ただ淡々と日々の人生を過ごしていた。ある日、学会出席のためニューヨークへ赴く命令を受ける。別宅のアパートを訪れると、そこには見ず知らずの若いカップル、シリア出身の移民青年タレクとセネガル出身の恋人ゼイナブが滞在していた。突然のことに驚くウォルターだったが、彼らもだまされていたことを知り、そのまま部屋に泊めることに。やがてジャンベ奏者であるタレクからジャンベを習うことになり、二人の間に友情が芽生え始めるが、ある日誤解からタレクが逮捕されてしまい...という物語。

9.11以降、アメリカでは移民への管理を相当厳しくしたそうですが、トム・マッカーシーがその事実を人間ドラマを交えて深くかつ軽妙に表現しています。途中までは、孤独な老教授が音楽と出合って次第に心を開いていく物語として見ていたのですが、中盤以降、移民問題が絡んできてドラマは急展開を見せます。
邦題は『扉をたたく人』ですが、原題は『THE VISITOR』。ウォルターは心優しい青年=訪問者のために、いろいろと動きますが、結局その国に住んでいる人間と訪問者の間には恐ろしく大きな隔たりがあります。テロのリスクを恐れ、訪問者を排除するだけでいいのか、トム・マッカーシーの静かな怒りがラストシーンに込められていると思います。重いテーマにアフリカンビートを絡め、適度に甘さをまぶした本作、ビートと切なさが、見た人の心にしっかりと刻まれます。


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