D-Movie(No.551)

・邦題:『シン・レッド・ライン』
・原題:『THE THIN RED LINE』
・監督:テレンス・マリック
・脚本:テレンス・マリック
・キャスト:ショーン・ペン、ジム・カヴィーゼル他
・制作:1998年/アメリカ
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:171分
・評価:★★★★


【 コメント 】
『地獄の逃避行』(1973)、『天国の日々』(1978)という二本の傑作を残し映画界から姿を消した伝説の監督テレンス・マリックが20年ぶりに復帰。監督・脚本を手がけた作品。ジェームズ・ジョーンズの同名小説をベースに太平洋戦争の激戦地ガダルカナルで戦闘の日々を送る若き兵士たちの内面を描いた群像劇。ちなみに同小説は1964年に映画化(邦題『大突撃』)されています。

舞台は1942年のソロモン諸島。アメリカ軍は日本軍の駐留するガダルカナル島を占拠するため野心あふれるトール中佐(ニック・ノルティ)指揮の元、突撃作戦を繰り広げる。脱走癖のあるウィット二等兵(ジム・カヴィーゼル)や彼を気にかけるウェルシュ曹長(ショーン・ペン)ら、アメリカ陸軍C中隊の面々も作戦に参加。しかしジャングルでは執拗に抵抗する日本軍が待ち受けていて...という物語。

冒頭の美しい島の風景、脱走してきた若い兵士、およそ今までの戦争映画とは異なる趣で始まります。また、登場人物の心理描写や過去の映像のフラッシュバックなどが多用され、演出としても戦争映画としてはかなり特異な作品に見えます。作戦の成否、登場人物の成長など、ドラマティックに盛り上がる部分はそれなりに用意されているものの、大きな全体的に起伏は無く、映画はただ兵士の心情や精神状態をていねいに描写していきます。途中挿入される島の風景や木々の木漏れ日などの映像が美しく、戦争映画でありながらどこか詩的な雰囲気があります。
かなり弱弱しく描かれている日本兵たちや一線を越えてしまう狂気の描写など、物足りない部分もあるものの、戦争という”状況そのもの”に飲み込まれていく人間たちの姿を捉えているという意味で貴重な作品ではないかと思います。

エンターテイメント性の希薄さを補うかのように集められた豪華な俳優陣も見所で、ショーン・ペン、ジム・カヴィーゼル共に素晴らしい演技ですが、チョイ役ながらジョン・サベージの存在はやはり狂気そのものでした。
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