2007年、イラクの荒廃した砂漠地帯。連絡の途絶えたパイプライン建設現場への偵察に向かったアメリカ兵のアイザックとマシューズ。何がおこわるかわからない状況で、慎重に行動する2人だったが、マシューズが想定外の場所から狙撃される。援護に向かったアイザックも脚を撃たれてしまい、崩れかけた壁の背後に辛うじて逃げ込む。敵の居場所も特定できず、身動きの取れなくなったアイザックは無線で救助を要請する。やがて無線に応答が入るが、声の主はアメリカ軍から“死神”と恐れられるスナイパー、ジューバだった...という物語。
イラク戦争で大勢のアメリカ兵を葬ったと言われる実在のスナイパー、ジューバの標的となった兵士の攻防を描くドラマ。閉じられた状況の中、登場人物の会話によって進められる異色の展開。シンプルな設定ゆえに若干間延びする部分もありますが、相手の姿が見えないがゆえに緊張感も高まります。狙撃兵が主人公なので、大きなアクションはありませんが、物語が進むに連れ、見ている側も精神的にじわじわと追い詰められます。アイデアと演出の勝利ですね。余談ですが、主人公を演じるのは、『キック・アス』(2010)で主役を演じたアーロン・テイラー=ジョンソン。あまりにも雰囲気が違って別人のようです(笑)。
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