D-Movie(No.537)

・邦題:『10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス』
・原題:『TEN MINUTES OLDER: THE TRUMPET』
・監督:ヴィクトル・エリセ、アキ・カウリスマキ他
・脚本:ヴィクトル・エリセ、アキ・カウリスマキ他
・キャスト:カティ・オウティネン他
・制作:2002年/イギリス、ドイツ、スペイン他
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:92分
・評価:★★★★★


【 ストーリー 】
映画史に名を残す巨匠監督15人が、“時間”をテーマにそれぞれの感性で10分間の短編映画を製作。『人生のメビウス The Trumpet』と『イデアの森 The Cello』という2本のコンピレーションフィルムにまとめられた。本作はそのうちの1本。

【 コメント 】
『フォー・ルームス』(1995)や『チューブ・テイルズ』(1999)など、異なる映画監督による作品をオムニバス形式で見せる作品はいろいろありますが、これだけ実力のある監督を集めた作品は他に類を見ません。ヴィクトル・エリセ、アキ・カウリスマキ、ヴィム・ヴェンダース、スパイク・リー、ベルナルド・ベルトルッチ、ジャン=リュック・ゴダールなどなど、監督名を羅列するだけでもお腹一杯です。
作品は『人生のメビウス The Trumpet』と『イデアの森 The Cello』の2編に分かれています。いずれもテーマは”時間”。そして作品の長さは各10分。テーマの解釈、構成などそれぞれの監督の自由。

本作は『人生のメビウス The Trumpet』の方で、アキ・カウリスマキ、ヴィクトル・エリセ、ジム・ジャームッシュ、ヴェルナー・ヘルツォーク、ヴィム・ヴェンダース、スパイク・リー、チェン・カイコーの7名による作品が収められています。

10分の短編とは言え、最初のヴィクトル・エリセ監督の『ライフライン』からその内容の濃密さに圧倒されます。美しい映像と生と死の間を揺れ動く緊張感が見る者から当事者としての感情を引き出します。本作の中で最も好きな作品です。さらにアキ・カウリスマキ、ジム・ジャームッシュ、ヴィム・ヴェンダース、スパイク・リーと、個人的に好きな監督が集まっていますのでどれも楽しめました。ジャームッシュはもともと自分の映画でもオムニバス形式を取り入れていますので、やはり一日の長がある感じです。女優がオフタイムに見せる素の時間なのですが、日常と非日常の狭間の”時間”と言えるような、微妙な空気感が上手く捉えられています。スパイク・リーのモノクロ映像もコントラストが強くて、これまたノンフィクションとフィクションの狭間。それらに比べるとヴィム・ヴェンダースの作品はちょっと力が抜けている感じですが、ここで使われているEELSの『Woman Driving, Man Sleeping』は好きな曲なので、これはこれで楽しめました。監督の好き嫌いに関わらず、クオリティの高い作品が詰まっていると思います。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送