【 ストーリー 】
世界を守るために組織された国際警察「チーム・アメリカ」。パリに潜む邪悪なテロリスト達を排除するために、同時にパリの街もろとも破壊してしまう乱暴さ。そんな折、北朝鮮の独裁者が大量破壊兵器をテロリストたちに売りさばこうとしているとの情報をキャッチ。俳優のゲイリーを誘い、おとり捜査の実行を計画するが ...。
【 コメント 】
ルール無用の過激さで大人気を呼んだTVアニメ『サウスパーク』の名コンビトレイ・パーカーとマット・ストーンが、往年の人気TVシリーズ『サンダーバード』をモチーフに、地球の平和を守るためなら手段を選ばない“チーム・アメリカ”の活躍を、マリオネット人形と精巧なセットで描いた物語。9.11同時多発テロ以降の緊迫した世界情勢を背景に、実在の人物が多数登場。アメリカの、世界のすべてがパロディと化した問題作です。
冒頭のシーンから、「チーム・アメリカ」が暴れまくり。テロリストの排除には成功するものの、パリの街もろとも破壊してしまう傍若無人ぶり。それでいて、自分たちはヒーロー気取り。さらにいかなる銃撃シーンでもラブ・ロマンスは忘れない。個人的にはこの序盤だけで大爆笑でした。この数十分間に、アメリカという国の姿勢や考え方が凝縮されています(もちろん非常に極端に、かつ嘲笑的にということですが)。ひいては、ハリウッド映画に対する皮肉とも取れるあたりがすごい。映画史上に残る名場面。それ以外にも、大問題となったSEXシーンや”あの”ドキュメンタリー監督の自爆シーンなど、マリオネットだからこそ許される(?)コミカルな動きや描写も満載。さすが「サウスパーク」を作った人は違います。舞台美術やアクションも非常に完成度が高く、一言であらわすと”人形劇”とは言え、ものすごい時間と手間がかかっているのがわかります。
物語は国際警察VSテロリストなんですが、とにかく下ネタとブラックジョークの連続。実在の人物のパロディも見所ですが、中でも実名で登場する北朝鮮のキム・ジョンイルは秀逸。基本的には世界の破滅を目論むのですが、自分の国のためと言う大儀があったり、途中甘い歌を歌わせたり、チーム・アメリカと同じ思考回路であることが伝わるのは巧妙な罠?。子供には見せられないけれど、でも見せたい映画。自らこういう作品を生み出すと言う意味では、アメリカってやっぱりすごい。
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