中東のとある小国で王位継承権を持つ王子ナシール。彼は改革に意欲的なあまり、アメリカの思惑と敵対することになる。一方、長年危険な諜報活動に従事してきたＣＩＡ工作員のボブ・バーンズは息子の大学進学を機に引退を決意するが、その前に最後の極秘指令が下される。また、ワシントンの大手事務所で働く野心溢れる弁護士ベネットは、アメリカの巨大石油企業コネックス社が絡んだ大型合併を巡る調査を任される。さらに、ジュネーブに暮らすエネルギーアナリストのブライアンは、ある不幸な出来事をきっかけに、ナシール王子の相談役に抜擢される。石油利権がうずまく中東で、それぞれの国、人間が、それぞれの思惑で動くとき、事態は思わぬ方向に動き出す．．．という物語。

元ＣＩＡ工作員ロバート・ベアによる告発本『ＣＩＡは何をしていた？』を、『トラフィック』(2000)でアカデミー脚本賞を獲得したスティーヴン・ギャガンが監督・脚本を手掛け映画化した作品。中東の石油利権に群がる登場人物たちの数奇な運命を、緊張感たっぷりに描いています。中東情勢などにくわしくないとわかりづらい部分もありますが、おそらく渦中の人物たちも、すべての全体像を把握できている人はいないだろうというぐらい複雑な関係性は、それだけでサスペンス要素たっぷり。映画としては地味ながら、ジョージ・クルーニー、マット・デイモン、ウィリアム・ハートなど、キャスティングも豪華で、見ごたえのある作品です。