人間の身代わりロボット“サロゲート”が人類の98%まで普及した近未来。人間は外出せず、家の中からサロゲートを遠隔操作することで、架空の実生活を送っていた。そんなサロゲート中心の社会に反対する一派や独立区も生まれるが、とりあえず、サロゲートの採用で犯罪や伝染病、人種差別が激減し、人類は理想的な社会を実現していた。だがある時、ほぼ完璧に安全なはずのこの社会で殺人事件が発生する。2体のサロゲートが破壊されただけでなく、セキュリティを破って、持ち主の人間までが変死していたのだ。事件を担当するFBI捜査官トム・グリアーはやがて、犯人が隠し持っていた武器から、事件とサロゲートの最大手メーカーVSI社との関連性を突き止めるのだが...という物語。
『ターミネーター3』(2003)のジョナサン・モストウ監督作品。人間とその代役が生きる二つの世界が舞台という意味では、『マトリックス』(1999)や『アバター』(2009)を髣髴させます。ブルース・ウィルス主演でそれなりにアクションもあり、主人公夫婦の人間ドラマも盛り込み、SFエンターテイメント作品として、なかなか面白い作りになっていると思います。ただ、そもそも”サロゲート”中心の世界にリアリティが感じられないのがもったいない。89分という短さなので、もう少し、世界観の構築と、夫婦の人間関係の描写に時間をかけて欲しかったです。なので、壮大なストーリーの割りに大作感と深みに欠けるのが残念。
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