No.19
タイトル
ソルジャー・ストーリー
(原題)
A SOLDIER'S STORY
監督
ノーマン・ジュイソン 
制作
1984年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
101分
評価
★★★
<ストーリー>
人種差別が色濃く残るルイジアナの陸軍基地で黒人の鬼軍曹(アドルフ・シーザー)が何者かに殺された。本省からエリートの大尉(ハワード・E・ロリンズ)が調査に派遣されるが、大尉が黒人であったことが基地に波紋をもたらす。大尉の調査により鬼軍曹の人間性のみならず、基地内のさまざまな問題がが徐々に明らかになっていく.........。


<コメント>
原作はピューリツアー賞を受賞したチャールズ・フラーの『ソルジャーズ・プレイ』という戯曲です。監督は黒人刑事が活躍する刑事ドラマの傑作『夜の大捜査線』(1967)を撮ったノーマン・ジュイソン。
黒人に対する人種差別が背景にあるドラマなのですが、ここでは殺された鬼軍曹ととその部下である黒人達との”黒人対黒人”の対立や、さらには上官対部下、部下同士とさまざまな対立が描かれており、それぞれが交錯しながらドラマが進んでいきます。

嫌われ者の鬼軍曹役を演じるのはアドルフ・シーザー。音楽や野球等のパフォーマンスでしか白人(=社会)に認められない黒人を卑下するがゆえに、同じ黒人である部下たちと対立してしまう苦悩を見事に演じきっています。この辺りの構図は『スクール・デイズ』で紹介したスパイク・リー監督が皮肉を込めて多用する”黒人(の男達)がバスケットボールや女の話しかしない”という自虐的な視点と似ているのではないでしょうか?
アドルフ・シーザーはこの作品でアカデミー賞の助演男優賞にノミネート、LA批評家協会賞では助演男優賞に輝きました。この人の演技は初めて見ましたが同様に黒人の人種差別を描いた『カラー・パープル』(1985)あたりにも出演しているらしいです。
エリート大尉を演じるハワード・E・ロリンズも抑えた演技ながら、雰囲気が出ていて良いです。
また若手兵士を演じる若き日のデンゼル・ワシントンの演技が素晴らしく、作品が持つミステリー的側面に緊張感を与えることに貢献しています。彼はこの作品で高い評価を得ました。見た目も今とあんまり変わらず格好良いです。ちなみに彼が主演した黒人ボクサーの波乱の人生を描いた『ザ・ハリケーン』(1999)の監督もノーマン・ジュイソンです。

ジャズ・ピアノ奏者のハービー・ハンコックが音楽を担当していることもあり、バックに流れる音楽はどれも素晴らしいです。ハービー・ハンコックは映像を見ながらライヴ・レコーディングをしたそうです。
クラブの歌姫役のパティ・ラベルや音楽と野球が得意な兵士役のラリー・ライリーが歌うシーンも必聴ものです(2人とも本業はプロのミュージシャン)。

なお、この作品は1984年のアカデミー賞3部門(作品賞、助演男優賞、脚色賞)にノミネートされました。

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