D-Movie(No.697)

・邦題:『シングルマン』
・原題:『A SINGLE MAN』
・監督:トム・フォード
・脚本:トム・フォード他
・キャスト:コリン・ファース、ジュリアン・ムーア他
・制作:2009年/アメリカ
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:101分
・評価:★★★★


【 コメント 】
世界的なファッションデザイナーとして知られているトム・フォードの監督デビュー作。ベースとなったのはクリストファー・イシャーウッドの同盟小説。愛する者を失い絶望の中で生きる男の、運命の一日を描いた作品。主演は『英国王のスピーチ』(2010)でアカデミー賞主演男優賞を受賞したコリン・ファース。共演は『ハンニバル』(2001)、『ブラインドネス』(2008)などのジュリアン・ムーア。

舞台はキューバ危機下にあった1962年のロサンゼルス。大学教授のジョージは、16年間共に暮らしたパートナーのジムを交通事故でなくして以来、8ヶ月に渡り孤独と絶望の中で生きていた。そしてある朝、その悲しみから抜け出すために、自分の人生に終止符を打とうと決意する。普通に職場に向かい、身の回りを整理し、最期を迎える準備を着々と進めていくジョージ。大学での講義を終え、かつての恋人で今は親友の女性チャーリーとひと時を過ごし、いよいよ終わりを迎えようとしていた彼の元に、突然、教え子のケニーが現れる。思いもよらない展開に身を任せながら、ジョージの心にさまざまな思いが去来する...という物語。。

ゲイの主人公が登場する物語ですが、ここで描かれているのは性別を超えた純粋な”愛”。その愛を失ったがゆえに絶望に生きる一人の男の物語。彼の言葉の一つ一つが胸に刺さり、彼の心情が映像を通して伝わってくるうちに、私たちは、人生に意味がなければ、生と死の境目も意味がないのだと気づかされます。”愛”なき人生に意味はなく、逆に”愛”ある人生がどれだけ素晴らしく、豊かなものかを、本作品は語ってくれていると思います。

2010年にアカデミー賞主演男優賞を射止めたコリン・ファースですが、前作となる本作品で同賞にノミネートされていました。個人的にはラストシーンがもう少し派手なら彼の演技も作品も世間的には評価されたのではないかと思いますが、それがいいかどうかはまた別問題。いずれにしても最初から最後まで、彼の繊細で孤独な演技に魅了される一本です。

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