17世紀、江戸初期。日本で布教活動を行っていた高名なポルトガル人宣教師フェレイラが、キリシタン弾圧を進める幕府の拷問に屈して棄教したとの知らせがローマに届く。さっそく弟子のロドリゴとガルペが真相を確かめるべく日本へと向かい、マカオで出会った日本人キチジローの手引きで長崎の隠れキリシタンの村に潜入する。そして村人たちに匿われ、信仰を通じて彼らと心を通わせていく。やがてロドリゴたちの存在は、狡猾にして冷酷な手段を駆使して隠れキリシタンをあぶり出しては、彼らに“転び(棄教)”を迫る長崎奉行・井上筑後守の知るところとなり...という物語。
遠藤周作による日本文学の金字塔『沈黙』を、巨匠マーティン・スコセッシ監督が映画化した作品。非情なキリシタン弾圧が行われている江戸初期の長崎を舞台に、信仰や宗教の対立といった人類の根源的な問に迫る問題作。登場人物の日本人が結構英語がペラペラだし、当時のリアルな弾圧の事情など勘案すると、ツッコミどころもあるかもしれませんが、これだけの重厚なテーマをスコセッシがしっかり描ききったと思います。単純に異宗教の対立ではなく、そもそも人間にとって信仰とは何か?を考えさせられます。1971年に篠田正浩監督によって一度映画化されているので、そちらにも興味がわきました。
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