ＦＢＩの誘拐即応班を指揮する女性捜査官、ケイト・メイサー。ある日その活躍が認められ、メキシコの麻薬組織“ソノラ・カルテル”の壊滅と最高幹部マヌエル・ディアスの拘束という極秘任務を帯びた特殊部隊にスカウトされる。こうしてリーダーの特別捜査官マット・グレイヴァーやコンサルタントとしてチームに同行する謎のコロンビア人アレハンドロともに国境を越えてメキシコのフアレスに向かったケイト。しかしそこで待っていたのは、正義や法の手続きなどが一切通用しない、暴力のみが支配する麻薬戦争のあまりにも深い闇だった．．．という物語。

メキシコとの国境線で活躍するFBI捜査官の女性が特別編成チームにスカウトされ、メキシコ麻薬戦争の凶悪な現場を経験する物語。ドキュメンタリーではないので、どこまで真実かはわかりませんが、それでも最初から最後まで圧倒的な緊張感で貫かれています。主演のエミリー・ブラントもいいのですが、ベニチオ・デル・トロとジョシュ・ブローリンが最高のキャスティング。原題の『Sicario』とはスペイン語で『殺し屋』の意。放題がありきたりで損をしていますね。メキシコのマフィアたちの人間性を必要以上に悪く描かないのも好印象。麻薬捜査の最前線の臨場感がやばいくらい伝わってくる作品。