D-Movie(No.584)

・邦題:『海を飛ぶ夢』
・原題:『THE SEA INSIDE』
・監督:アレハンドロ・アメナーバル
・脚本:アレハンドロ・アメナーバル他
・キャスト:ハビエル・バルデム、ベレン・ルエダ他
・制作:2004年/スペイン
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:125分
・評価:★★★★


【 コメント 】
25歳の時に頸椎を損傷し、以来30年近くものあいだ全身不随で過ごした実在の人物、ラモン・サンペドロの手記『地獄からの手紙』がベースとなった作品。当時の法律では禁止されていた尊厳死を求めて戦うラモンの苦悩と、彼の周辺で生きる人間たちの葛藤が描かれています。
監督は『オープン・ユア・アイズ』(1997)、『アザーズ』(2001)のアレハンドロ・アメナーバル。ラモンを演じるのは『ノーカントリー』(2007)のハビエル・バルデム。
スペイン、ラ・コルーニャの海で育ったラモン・サンペドロは19歳でノルウェー船のクルーとなり、世界中を旅して回っていた。しかし25歳のとき、岩場から引き潮の海へ飛び込み、頭部を強打、首から下が完全に麻痺してしまう。以来、家族に支えられながら寝たきりの生活を送っていたが、このままでは生きている意味がないと悟ったラモンは尊厳死を希望する。法律では認められていなかったため、弁護士を雇って自らの死を求めて戦いを始める...という物語。

実話がベースになっているということや、ハビエル・バルデムの老けメイクや演技も話題となりましたが、とにかく人間にとって”生きる”とは何かを強烈に問いかけてくる作品です。
ラモンは自らの身体が自由にならないことに絶望しますが、彼に愛を注ぐ女性は存在します。それでも愛は人が生きる理由になりえないのでしょうか。だとすれば人は何のために生きるのでしょうか。ラモンの選んだ選択はまさに賛否両論あるでしょうが、私たちが”生きている”と実感できる理由の一つに”選択”の自由があるかどうかが大きな割合を占めているのではないかと思います。死は人間にとって最も大きな選択です。しかしながら、死はその個人だけでなく、周りの人間にも影響を与えざるを得ない行為。それがゆえにラモンや家族も苦悩し、葛藤しますが、その問いに答えはありません。生きる意味、愛と死の関係、人間が生きるうえでの根源的な問いに真っ向から対峙した作品です。

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