D-Movie(No.599)

・邦題:『ルーツ・タイム』
・原題:『ROOTS TIME』
・監督:シルベストレ・ハコビ
・脚本:シルベストレ・ハコビ
・キャスト:ルウェリン・サムダ、ウールトン・ハリスン他
・制作:2006年/ジャマイカ、アルゼンチン
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:77分
・評価:★★★


【 コメント 】
かねてから”ラスタファリアン・カルチャーを映画にしたい”という夢を持っていたアルゼンチン・ブエノスアイレス出身のシルベストレ・ハコビ監督が脚本まで手がけた作品。ラスタ(1930年代にジャマイカの労働者階級と農民を中心にして発生した宗教的思想運動。基本的にアフリカ回帰)の思想・文化が全編に渡って詰まった一作。

ジャー・ブルとバブーのラスタマン二人は、ジャマイカカラーのスピーカーを乗せたオンボロ車でレコードを売りながらジャマイカを横断。ある時、ある男から、彼のガールフレンドが体調を崩したので一緒に病院まで運んでほしいと相談を受ける。その男がラジオの有名DJファーマー・ルーツであることを知った二人は、ラスタの主義に則り、西洋医学を使う病院ではなく、ボンゴ・ヒューと呼ばれる薬草医のもとへ連れて行こうと、車を走らせる...。

レゲエが主題となった映画と言えば『ロッカーズ』『ハーダー・ゼイ・カム』をはじめとしていろいろありますが、この "ラスタファリアン・ムービー"は少し異色。ライブ・シーンやアクション・シーンは少し控えめ、コメディ調で始まり、最後はかなりスピリチュアルな展開となります。作中のほとんどが車内のやり取りのシーンなのですが、主人公二人の言葉のやり取りが面白い。デタラメな話にいい加減な話。それでいて、台詞の端々に登場するラスタの思想。どこかいい加減でフリーダムなロードムービーを装いながら、実はラスタの精神をしっかりと真っ向から伝える硬派な作品と言えるのかも。

”日本人受け”という意味では難しいかもしれませんが、ほとんどのシーンをボブ・マーリィが生まれた地として名高いナイン・マイルズという町で撮影されたというエピソードもファンにはたまりません。流れる音楽も最高です。
ちなみに、エンディングには、”ジャー・ブル”に捧ぐ、と出ますが、主人公の一人ジャー・ブルはベテランDJで2005年に映画の完成を待たずに他界されたとのこと。合掌。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送