D-Movie(No.707)

・邦題:『四つのいのち』
・原題:『LE QUATTRO VOLTE』
・監督:ミケランジェロ・フランマルティーノ
・脚本:ミケランジェロ・フランマルティーノ
・キャスト:ジュゼッペ・フーダ、ブルーノ・ティンパノ他
・制作:2010年/イタリア、ドイツ、スイス
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:88分
・評価:★★★★★


【 コメント 】
本作が長編2作目となる、ミラノ生まれのミケランジェロ・フランマルティーノ監督作品。自然豊かな南イタリアのカラブリア地方で撮り上げたドキュメンタリー・タッチのドラマ。人間、動物、植物、炭がテーマとなった四つのエピソードを通して、自然の営みの中で繰り返される”誕生”と”死”と”循環”を描いた作品。その静謐としていて瑞々しい映像・演出は、カンヌ国際映画祭を始め、世界各国の映画祭で高く評価されました。

南イタリア・カラブリア州の山村、ヤギの世話をする年老いた牧夫は、咳を静めるために教会のほこりを水に溶いて飲んでいる。やがて彼は自分の家でひっそりと死を迎える。そして村では一匹のヤギが誕生する。そのヤギは放牧の最中に溝にはまり、群れからはぐれてしまい、あてもなく山中をさまよった挙句、大きなもみの木の下で眠りにつく。そんな中、村では祭りの準備が始まり...という物語。

最初の老人と放牧のシーン。台詞は無く、ほとんどがワンカットの長回し。澄み切った空を背景にした映像はまるで絵画のようです。一見、ストーリーもないように見えますが、実は画面の一部分で物語が進行している場面があったり、全体として、老人、ヤギ、大木、炭という4つの主題がゆるやかにつながっていたり、冗長な感じは受けません。

序盤に描かれる老人の行動やたたずまいがどこかユーモラスで、”主人公”のように思ってしまいますが、本作では、誰も、どれも中心になっていません。すべて、それぞれがそれぞれの立場で淡々と”生”を過ごしています。むしろ、その演出によって、”この地球上では決して人間が主役ではないのだ”、ということを語りかけてくるようです。生命の誕生、葬列、事故、祭り、仕事、さまざまな出来事が季節が巡るように起こり、そして収束していく。その様子をゆっくりと捉えた映像を見ていると、どこか”命”そのものと向き合っているような感覚になります。大げさな笑いも涙もありませんが、確かで深い感動を得られる作品です。

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