D-Movie(No.576)

・邦題:『PURE ピュア』
・原題:『PURE』
・監督:ギリーズ・マッキノン
・脚本:アリソン・ヒューム
・キャスト:モリー・パーカー、ハリー・イーデン他
・制作:2002年/イギリス
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:97分
・評価:★★★


【 コメント 】
主人公は10歳の幼いポール(ハリー・イーデン)。彼はパパが死んでから、母親(モリー・パーカー)と弟リーとの3人暮らし。たまにおじいちゃんの家に行くと、おばあちゃんは母親を罵ってばかり。さらにポールは学校で母親が麻薬中毒だといじめられる。ポールはそんなことはないと信じて母親をかばい続けるが、やがて母親が飲んでいる薬がヘロインだったことを知る。ポールは何とか母親を立ち直らせようと奔走するが...という物語。

貧困生活の中でもがく母親と彼女を立ち直らせようとする息子。母親は何とか麻薬中毒から立ち直ろうと努力しますがうまくいきません。ポールを守ってくれる大人は祖父と祖母ですが、彼らは母親のことをよく思っていない。さらに亡くなった父親の友人レニー(デヴィッド・ウェンハム)、近所のウェイトレス・ルイーズ(キーラ・ナイトレイ)、麻薬捜査官など、周りにいる大人たちは自分の都合で動くだけ。本当に信用できるかどうかわからない。
10歳の子供にとって本当に過酷な状況の中、ポールはそれでもけなげに母親のためにさまざまな策を講じます。もちろん、子供に出来ることはたかがしれていて、結局事態は好転しないわけですが。原題は『PURE』は、ポールの無垢でひたむきな母親に対する愛の”純粋さ”ではなく、子供の存在そのものが”純粋”であり、それが多くの大人や世界にとってかけがえのない存在である、という意味なのではないかと思いました。
ポール役を演じるハリー・イーデンはオーディションを勝ち抜いてこの役を得たそうですが、おとなしさの中に恐ろしいほどの芯の強さを感じさせるすばらしい演技を披露しています。10歳のあどけなさを残しながらも、場面によっては老人のような老練な表情を見せるところもあり、ドキッとさせられます。
イギリス映画特有の暗さを持っている作品ですが、さほど凄惨な場面はなく、映像的にも色使いが美しい、監督の優しさが伝わってくる一本です。

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