D-Movie(No.713)

・邦題:『プレシャス』
・原題:『PRECIOUS』
・監督:リー・ダニエルズ
・脚本:ジェフリー・フレッチャー
・キャスト:ガボレイ・シディベ、モニーク他
・制作:2009年/アメリカ
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:109分
・評価:★★★


【 コメント 】
低予算映画ながら、サンダンス映画祭などで高い評価を得、最終的にアカデミー賞6部門にノミネートされ、助演女優賞と脚本賞を受賞した作品。監督は『チョコレート』(2001)の製作にかかわったリー・ダニエルズ。主役を演じるのは新人女優のガボレイ・シディベ。本作でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされました。

舞台は1987年のニューヨーク、ハーレム。16歳のプレシャスは、極度の肥満体型のうえ読み書きも出来ず、授業中は妄想にふける日々。母との関係もうまくいかない。さらにこの年齢にして2度目の妊娠。しかも実の父の子。彼女は幼い頃から父親にレイプされていたのだ。結局妊娠がばれて、学校も退学を余儀なくされる。彼女のことを思った校長は、彼女にフリースクールに通うことを提案、手続きを整える。そこで彼女は、情熱あふれる女性教師レインと出会う。彼女の献身的な指導のおかげで、プレシャスは徐々に読み書きを覚え、自分の人生に希望の光を見出すが...という物語。

原作となる小説を書いたサファイアという人は、実際にニューヨークのハーレムでソーシャルワーカーや教師をした経験を持っているそうなので、ストーリー的には、実話に近い部分もあるのかもしれませんが、それにしても日本人には信じられないくらい重い内容です。”持たざる者”がさまざまなものを奪われ続ける物語。父親からのレイプ、母親からの奴隷扱い、同級生からのいじめ...主人公のプレシャス自身は何も悪くありません。ただ、貧困層に生まれてしまっただけ。そこに唯一の救いともいえる女性教師が登場します。かといって、プレシャスがすべての困難を乗り越えたり、夢を実現したりする場面はありません。自尊心を取り戻し、自分で自分の人生を歩き始めた第一歩が描かれているだけです。ただ、その一歩の何と力強いこと。人との出会い、教育の大切さをあらためて考えさせてくれる作品。マライア・キャリー、レニー・クラビッツがいい味出しています。

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