【 コメント 】
フランスのSF作家ステファン・ウルの長編小説を、マンガ家ローラン・トポールの絵でアニメ化した異色のファンタジー作品。とある惑星で対立する二つの部族の物語を描いた作品。監督はルネ・ラルー。本作は同年のカンヌ映画祭にて、アニメーションとしては初めての特別賞を受賞しました。
とある惑星に暮らす、巨大なドラーグ族と小さなオム族。ドラーグ族は高い科学文明を持ち惑星を支配する一方、彼らの10分の一程度の大きさしかない、オム族は、ドラーグ族のペットになったり、時に大量虐殺されたりしていた。そんな中、ドラーグ族の少女ティバは、母親を殺されたオム族の赤ちゃんを拾い、ペットとして育てることに。テールと名づけられたオム族の赤ちゃんは、ティバと暮らすうちに徐々にドラーグ族の言葉や文化を吸収、やがてドラーグ族に従属する生活から抜け出すべく、脱出を図り、彼らに反旗を翻すようになるが...という物語。
独特のアニメーション映像、設定とストーリーのオリジナリティなどから、未だにカルト的人気を誇る作品です。地球を支配しているはずの人間が全く逆の立場になるという意味で、昔は同類の作品として『猿の惑星』が挙げられることが多かったですが、ここ数年では『進撃の巨人』ですね(笑)。実際巨人が登場して人間を踏み潰す描写なんかもでてきますから。ただ、ストーリー的な面白さだけでなく、とにかくファンタジックで時にグロテスクなアニメーションは、それだけで唯一無二の存在感です。切り絵をコマ撮りすることによる動きも他にはない面白さ。製作には4年もかかったとのこと。テーマとしては重い部分もありますが、作中に登場するさまざまなクリーチャーを見ているだけでも十分楽しめます。ちなみに、昨年ブルーレイ版も発売されました。特典映像で、ルネ・ラルー監督のインタビューや本作と同じ、ローラン・トポールの画による短編『かたつむり』も収録されています。
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