冴えない中年のセールスマン、サムとヨナタン。吸血鬼の牙、笑い袋、歯ヌケ親父のマスクといった面白グッズを2人で売り歩いているが、まるで成果を挙げられず散々な日々。フラメンコの女教師は、レッスンを受けに来るお気に入りの若い男の子の身体を指導のフリをして触りまくり、フェリーの船長は船酔いが耐えられずに理容師に転職する。さらには、現代のバーになぜか、18世紀のスウェーデン国王カール12世が騎馬隊を率いて現われる。彼らの行くところ、いろんな人と人生が交錯する...という物語。
スウェーデン出身のロイ・アンダーソン監督・脚本によるコメディ・ドラマ。同氏による『散歩する惑星』(2000)、『愛おしき隣人』(2007)から続く”リビングトリロジー”3部作の3作目。すべてのシーンを固定カメラ、1カットで撮影。CGではなく計算され尽くした構成と画作りが何とも言えない不思議な世界感を醸し出しています。感情の起伏は派手には描かれませんが、私達の感情がいかに複雑か、ということがひしひしと伝わってきます。人間ってホントにバカで楽しくてどうしようもなく哀しい。本作は第71回ヴェネツィア国際映画祭で最高賞である金獅子賞を獲得。ちなみに原題をgoogle翻訳に掛けると「支店に置かれたハトと商品の基盤」と出ます(笑)。