D-Movie(No.617)

・邦題:『パンズ・ラビリンス』
・原題:『PAN'S LABYRINTH』
・監督:ギレルモ・デル・トロ
・脚本:ギレルモ・デル・トロ
・キャスト:イバナ・バケロ、セルジ・ロペス他
・制作:2006年/メキシコ、スペイン、アメリカ
・ジャンル:ファンタジー
・上映時間:119分
・評価:★★★★★


【 コメント 】
スペイン内戦に生きる一人の少女が体験する現実と地下世界が交錯した自分探しの物語を描いたダーク・ファンタジー。監督は『ブレイド2』(2002)や『ヘルボーイ』(2004)のギレルモ・デル・トロ監督。

舞台は1944年のスペイン。内戦終結後もフランコ政権の圧政に反発する人々がゲリラ闘争を繰り広げる山間部。内戦で父を亡くした少女オフェリアは、臨月の母カルメンと共にこの山奥へとやって来る。この地でゲリラの鎮圧にあたるビダル将軍と母が再婚したのだった。冷酷で残忍な義父に恐怖と憎しみを募らせるオフェリア。その夜、彼女は昆虫の姿をした不思議な妖精に導かれ、謎めいた迷宮へと足を踏み入れる。そこでオフェリアを出迎えた牧神のパンは、彼女が地底の魔法の国のプリンセスの生まれ変わりで、満月の夜までに3つの試練を乗り越えれば、魔法の国に帰ることが出来ると告げる。オフェリアはその言葉を信じて試練に挑む...という物語。

ダーク・ファンタジーと言っても、昨今の魔法使いや宿敵が登場し、世界を舞台に死闘を繰り広げるようなスケールの大きなものではなく、どちらかというと一人の少女の精神世界の中で絵本的に展開するお話です。ただ、ファンタジーと現実世界とが交錯しながら進むところがポイントで、エンディングも最終的に少女がどちらの世界の住人なのか、どちらにも受け取れるようになっています。それによってハッピーかバッドかのエンディングに分かれるわけですが...。

戦争に翻弄される少女の悲劇としてもしっかり描かれている反面、ファンタジーとしての要素もふんだんに盛り込まれています。そのバランスが非常によく、特に美術を担当したエウヘニオ・カバイェーロの世界観が素晴らしく、牧羊神パンや妖精を食らうペイルマン、伝説の植物マンドラゴラなど、独特のキャラクターで作品を大変印象的なものにしています。戦争を背景にしている割には多少緊張感にかける部分もありますが、それでもまた何度も見たくなる作品です。

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