アイルランドの田舎で漁師をしているシラキュースは、ある日、網に美しく若い女性がかかっているのを発見する。彼女は意識を失っていたが目を覚まし、名前がオンディーヌであると告げた後、自分の存在を誰にも知らせないでほしいと頼んできた。シラキュースは彼女を家に連れ帰り、娘アニーとともに三人で暮らし始めることに。アニーはオンディーヌが海の精か人魚だと信じており、確かに彼女の周りでは不思議なことが起きていた。シラキュースとオンディーヌは恋に落ちるが、彼女には人には言えない秘密があった．．．という物語。

「クライング・ゲーム」(1992)、「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」(1994)を手がけたニール・ジョーダン監督作品。偶然”人魚？”を捕獲した漁師の男性に起こった物語を描いたドラマ。現実離れした設定をうまくまとめるのはこの監督ならではの手腕。冒頭から荒唐無稽な感じですが、アイルランドに伝わるセルキーの伝説を絡めつつ、ミステリーの味付けがされた恋愛ドラマとしてちゃんと成立しています。アイルランドの海辺の風景が美しいです。これは撮影を担当したクリストファー・ドイルの為せる技でしょうね。キャスティングもよく、ハリウッド映画とは一味違う、大人の童話のような雰囲気がナイスです。