2004年、大学生のジョーダンは、ガレージセールで“ノヴェム”というバンドの音源とフィルムを偶然手に入れる。その音楽に魅了されたジョーダンは、大学の仲間とノヴェムについて調べ始め、彼らが1973年に、レコーディング合宿で９曲を作った後、不慮の事故で亡くなりこの世にわずか６日間しか存在しなかった９人編成のバンドだったことを知る。これだけの素晴らしい音源を埋もれさせておく訳にはいかないと、ジョーダンは仲間たちと一緒に、インターネットで音源を公開しようと考えるが．．．という物語。

”ノヴェム”という架空のバンドが辿った運命と、彼らが残した音源と映像をドキュメンタリー仕立ての構成で描いた青春ドラマ。バンドも物語もすべてフェイクなのですが、ドキュメンタリーとしてのリアルさにこだわった演出は圧巻です。３０年前のものにしては、音源も映像もきれいなので、多少の違和感はありますが、なにより楽曲のクオリティが高く、当時の時代性もしっかり描いているため、フェイクという前提で見てもちゃんと楽しめます。登場する俳優を全員オーディションで選んだプロセスも奏功したようです。斬新なアイデアだけで終わらない、青春ドラマの秀作。