D-Movie(No.733)

・邦題:『NO FUTURE A SEX PISTOLS FILM』
・原題:『NO FUTURE: A SEX PISTOLS FILM』
・監督:ジュリアン・テンプル
・脚本:−
・キャスト:ジョニー・ロットン、シド・ヴィシャス他
・制作:2000年/イギリス
・ジャンル:ドキュメンタリー
・上映時間:105分
・評価:★★★★


【 コメント 】
1970年代後半にイギリス・パンクシーンを席巻したセックス・ピストルズの真実に迫るドキュメンタリー。監督はセックス・ピストルズをテーマに作品を撮り続けるジュリアン・テンプル。本作の前に『セックス・ピストルズ/グレート・ロックンロール・スウィンドル』(1979)を、2008年には『セックス・ピストルズ 勝手にやったぜ!』(2008)を製作しています。

前作がどちらかというと当時のパンクシーンの仕掛け人マルコム・マクラーレンにフィーチャーした作品だったとすれば、本作はジョニー・ロットンを中心に”セックス・ピストルズ”そのものを深く掘り下げ、メディアが作り上げた虚像とは別に、彼らの本質、真実を追いかけた作品となっています。

失業率の高さからくる若者たちの不満、不満をぶちまける手段としての音楽、本作は、冒頭からパンクが生まれた社会的背景を丁寧に描写。パンクロックというテーマ、セックス・ピストルズというバンドに真摯に向き合う姿勢が感じられます。最初にちゃんとライブ映像と音源が挿入されるタイミングもタメが効いていてかっこいいです。仕掛け人マルコムのエピソードも控えめ。いろんな意味でファンには嬉しい作りになっています。バンドの成り立ちから絶頂期〜終焉まで、きっちりと描かれています。シド・ヴィシャスの映像が豊富なのも貴重です。あらためて彼らの音楽性のオリジナリティや聴衆・メディアとの距離感が認識できます。ただ、このバンドにおいて”真実”は非常にひりひりとする切なさに包まれていて、ドキュメンタリー映画を観て、ライブ的に盛り上がりたい人にはちょっと合わないかも。もちろん、これはこれで本当に真実かどうかは図る術がありませんが、そんなことよりもとにかく社会に唾を吐くことが大事、それこそがパンクなのかも。ジョン・ライドンの抱えていた葛藤を目の当たりにするのが言いか悪いかは置いておいて、パンクとは”姿勢”であるという、シンプルな事実を改めて突きつけてくる作品です。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送