アメリカ北西部のモンタナ州に暮らす老人ウディ・グラント。ある日、100万ドルの賞金が当たったという、どう考えてもインチキな手紙を受け取る。ところがウディはそれを信じ込み、はるか遠くのネブラスカまで歩いて賞金を受け取りに行こうとする始末。息子のデイビッドは、周囲が何を言ってもまるで耳を貸さない父に根負けし、無駄骨承知で彼を車でネブラスカまで連れて行くことに。そしてその道中で、ウディの生まれ故郷に立ち寄ることにしたが、そこでも賞金が当たったことを話したことから、一躍時の人になってしまうが...という物語。
『サイドウェイ』(2004)、『ファミリー・ツリー』(2011)とアカデミー賞の脚本賞を受賞しているアレクサンダー・ペイン監督作品。怪しげな当選賞金を受け取るべくネブラスカへと向かう老人とその息子の旅を描いたロードムービー。全編モノクロのクラシックな映像により、登場人物たちの、喜び、嫉妬、怒り、尊敬などの微妙な感情があぶりだされています。老人が嘘を信じた理由が痴呆症などの病気であれば、ちょっと重い話になってしまいますが、そのあたりは明確になっておらず、個人的には超頑固親父を中心にした家族の再生の物語として楽しみました。コメディ要素もバランスよくちりばめられている秀作だと思います。
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