幼くして両親を亡くしたジェリー・リーとフランクのフラナガン兄弟。兄のジェリー・リーは子どもの時に足を大怪我したこともあり、何をやってもうまくいかず、恋人ともケンカしてばかり。一方のフランクも順風満帆とは言えない生活。そんなある日、ジェリー・リーは思いもよらず、車で子どもをはねて死なせてしまう。このまま捕まれば人生は終わるとばかりに、一度は弟フランクに泣きついたジェリー・リーだったが、責任を感じて自殺を図るも、死に切れずに病院に運び込まれる。そんな兄を優しく見守るフランク。やがて警察の捜査が及ぶと、フランクは病院から連れ出し、一緒に車で逃亡する。行き先はフランクが今も想い続けるかつての恋人アニーの住む町。その町のモーテルでかすかな希望を見出したかに見えた二人だったが...という物語。
固い絆で結ばれた兄弟フランクとジェリー・リーをエミール・ハーシュ、スティーヴン・ドーフが、ともに熱演。本作がデビューとなる監督アラン・ポルスキーとガブリエル・ポルスキーも兄弟。自身の想いも反映されているのか、肉親であるがゆえの葛藤や諍いなどはほとんどなく、ともに手を取り合って人生を歩むポジティブな兄弟の関係がしっかり描かれています。子供を死なせてしまった兄の行く末、弟の恋人との結末など、いろんな伏線がそれなりにリアリティをもって収束されていきます。兄弟監督のバランス感覚のおかげで、派手さは無いものの、じんわりと人間の優しさ、兄弟の素晴らしさが伝わってくる作品です。
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